Fishmans Wiki
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Cd extra dictionary

Cover photo used by CD Extra program for the Dictionary.

The CD Extra Dictionary is a portion of the "Fishmans.exe" program included on the early 1998 Pony Canyon reissues of Melody, Neo Yankees' Holiday, Orange and Go Go Round This World!. It lists a large number of words relevant to Fishmans and their history, going into detail on each. Each is separated by book and chapter and sorted based on the Japanese alphabet. Below is a full, untranslated transcription of its contents. It has been lovingly dubbed the "Fishmans Bible" by fans on occasion.

Pool18Page16

Page from Pool Volume 18 discussing the CD Extra Dictionary, as well as other items found on the program. Here it is referred to as the "FISHMANS Library".

Because this was only written in early 1998, there are no mentions of releases such as 8月の現状, ゆらめき in the Air or 98.12.28 男達の別れ.

あ~こ[]

-- あ --[]

アイ・ダブ・フィッシュ【I DUB FISH】(曲)

1) フィッシュマンズの9thシングル「シーズン」のカップリング曲。 2) 年老いた雌魚が産卵のために川を上る物語。短いながらも壮大な叙情詩。英語のポエトリー・リーディングは映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を意識したものとか。

アイム・フィッシュ【I’m fish】(文)

1) わたしは魚である、という意味の英語文。 2) フィッシュマンズのオフィシャル・Tシャツに印刷されている文字。赤、青、紺、黄等色とりどり。

アカイ・エス3200エックスエル【AKAI S-3200XL】(機)

1) 茂木が愛用してるサンプラー。 2) とにかく今では大活躍の代物。ミディ・ドラムに送る音源はドラムの音ばかりでなく、ものすごいSEも送っている。もちろんライブでも茂木がそのSEをパッドから出していることが多い。

アサチャン【Asa-Chang】(人)

1) パーカッショニスト。 2) 『ロング・シーズン』に参加。

アザラシアワー・ニジマスナイト【アザラシアワー・ニジマスナイト】(題)

1) アザラシ=海豹。寒帯に生息する肉食海獣。白い赤ちゃんはかわいいが、成獣は強い。凶暴と言ってもいいかもしれない。ニジマス=虹鱒。サケ科の淡水魚。 2) 92年7月より、JFN系全国20局ネットで放送されたフィッシュマンズのレギュラー・ラジオ番組。深夜枠の上に大都市でのオン・エアもなく、当時構成作家でもあった川崎大助氏(現「米国音楽」編集長)を巻き込んでの2時間は、異様にテンションの高い日もあれば、妙に口の重い日もあり、なかなかフィッシュマンズらしい番組であった。かかる曲もナイス・チョイスであればあるほどナゾの番組というか…。

あたらしいひと【新しい人】(曲)

1) 新人。新たに現れた人。旧来の人々とは違う、新しい価値観をもった人。←→古い人。 2) 『空中キャンプ』では「日本盤だけのボーナス・トラック」(フィッシュマンズ)としてアルバムの最後に収録。都内、しかも自宅近所しかドライブしない佐藤伸治の生活観が滲み出ている。←→高村光太郎「東京には空がない」

あのこがねむってる【あの娘が眠ってる】(曲)

1) 生きているものはたいてい眠る。蝶々も眠る。魚も眠る。あの娘も眠る。 2) でも恋人が先に眠ってしまうと、残された方はちょっとさみしいものである。小嶋謙介の作品。マキシ・シングル『コーデュロイズ・ムード』に収録。

――(P.M.W.バージョン) 3) シングル「100ミリちょっとの」のカップリング曲。編曲はヤプーズの中原信雄+フィッシュマンズ。

あめおとこにくまれる【雨男憎まれる】(曲)

1) 背中にオーラならぬ雨雲を背負っている男は嫌われるというテーゼ。女の場合は雨女。雪女とは別種。例「またかよ。コイツがいると必ず雨が降るんだぜ。来るなよ、もう…」 2) セカンド・アルバム『キング・マスター。ジョージ』収録のパンク・ナンバー。ちなみにフィッシュマンズに雨男はいないという。しかし、「マジック・ラブ」『宇宙 日本 世田谷』等の撮影日に大雨が降って往生したことは彼らの記憶に新しいはずである。

番外・雨男であることの克服法=自分は雨男ではないと言い張ること。雨傘を捨てること。雨の存在を忘れること。雨が降っても謝らないこと。雨が降りそうな日は外出しないこと(つまり、ちゃんとニュースを観ること)。

-- い --[]

いいことばちょうだい【いい言葉ちょうだい】(曲)

1) フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』のオープニング曲。 2) 言葉はひとの心を揺り動かす。そして人間たちで構成されている世界の空気をも左右する。それを日本人は言葉のスピリット=言霊と呼んで信じてきた。日本人じゃなくても“いい言葉”は笑ったり安眠したりするための糧となる、という民俗学的考察をほのめかした歌。

いかれたベイビー【いかれたベイビー】(曲)

1) 頭がヘンになった恋人。 2) 普通の辞書によれば、《いかれる》とは“してやられた”“ふぬけになる”“駄目になる”の意。俗には“クレイジー”といった程度のニュアンスで使われる。それにしても、佐藤伸治のようないかれた奴にさらに「いかれた」と評されるベイビーとは一体…? 茂木欣一曰く、「永遠のスタンダード。なんで売れないのかなぁ」。類に「ウェディング・ベイビー」「ベイビー・ピアノ・ミックス」「ナイヤビンギ・ベイビー」がある。

――(グリッタリング・リワインダー・ミックス) 3) 頭がおかしくなった恋人がさらに[四字伏字]になった状態。 3) 『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。

イグアナ【イグアナ】(動)

1) エクアドル領ガラパゴス島を故郷とする爬虫類。主な活動は日向ぼっこ。日本では美しいグリーン・イグアナが有名、かつ人気。雑食で清潔。穏やかな性格で鳴き声をたてない…という共同生活者としてはこれ以上ない“いいヤツ”。 2) 柏原譲の同居生物。

イシバシセカンドハンズ【イシバシセカンドハンズ】(店)

1) 新宿にある中古楽器店。 2) 柏原譲のスウィート・スポット。

イッツ・ビー・オールライト【It’s be alright】(曲)

1) デビュー・シングル「いなごが飛んでる」のカップリング曲。 2) 普通は「It’s alright」だと想うんだけど、あえて“be”をつけるところがフィッシュマンズ風? などと詮索しないで楽しむ曲。

いなごがとんでる【いなごが飛んでる】(曲)

1) 淡褐色、体長3センチほどの直翅目の昆虫が跳んでいるという、古来から日本や中国の水田等で見られた風景をモチーフに、忙し過ぎる現代人の生活に警鐘を鳴らした作品。 2) オリジナル・バージョンはデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』のバージン・ジャパン盤とオムニバスCD『パニック・パラダイス』(キャプテン・レコード)に収録されている。

――(東京タワー・ミックス)シングル盤及びメディア・レモラス盤『チャッピー・ドント・クライ』に収録のバージョン。

イン・ザ・フライト【IN THE FLIGHT】(曲)

1) 飛んでいる状態。飛行中。あるいは逃走中、脱出中。→イン・ザ・ファースト・フライト=先頭に立って。一流で。 2) フィッシュマンズのアルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録された曲。5歳のころには百万もあった将来への可能性は、20歳になると50個くらいに目減りしていることに気づいて愕然とするが、30歳でふと考えるとすでに5個くらいになっていて、ひとは人生に恐怖を覚える。だけど物事の本当の美しさはそうなってみて初めて心の底まで染み込んできたりもするから、悪いことばかりじゃないやね。空はいつだってある。落ちて来たりもせずに―――というような歌、だろうか。透明感のある美しいナンバー。夏場に聴くととても涼しいという効用もあり。

イントロ【Intro】(曲)

1) イントロダクションの略。導入、創始、序文。音楽用語では前奏曲、序奏。 2) フィッシュマンズの4thアルバム『オレンジ』に導入部として収録されたインストゥルメンタル。本当にイントロ。

-- う --[]

ウーファー・ガール【Woofer Girl】(曲)

1) ウーファーとは(ラジオなどの)低音拡声器。←→ティーター。低音の女キャピキャピしていない女の子。つい守ってあげたくなったりして。 2) フィッシュマンズの4thアルバム『オレンジ』に収録。ハカセのフィッシュマンズ時代、最後の作。

ウェザー・リポート【Weather Report】(曲)

1) 天気予報。悪く言っておいた方が恨まれる確立が減少する特殊な占い。 2) 1970年にジョー・ザビヌルとウェイン・ショーターによって結成されたジャズ・フュージョンの代表的グループ。 3) フィッシュマンズのアルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録された曲。大雨の日も照りつける午後も、風が吹いてさえいれば気持ちのいい、清澄な場所はあるものだ。そんな場所では夢だって信じられたりもする。でも絶対に風がなきゃいけないってこともないし。空のことは空に任せるしかないしさ。 4) “デート日和”っていいよなぁ。

うえたあきこ【植田亜希子】(人)

1) あどけなさと貫禄を併せ持つフィッシュマンズの二代目マネージャー。年齢不詳。愛称ブッチ。ヘビー・スモーカー。 2) フリー・ペーパー「フィッシュマンズがんばってます」(休刊中)の編集長兼記者でもある。

使用例→「ブッチが車を買えるようになるまで、フィッシュマンズはがんばってます」(どうせなら家を買えるくらいがんばれよな―ブッチ・シンパ)

ウォーキン【Walkin’】(曲)

1) 歩くこと。最近ではもっとも手軽にできる有酸素運動としても注目を集めている。2) フィッシュマンズの4thシングルで、サード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』にも収録。延々13時間に及ぶ散歩の軌跡をいささかの疲れも感じさせずに明るいメロディで綴ったポップ・ナンバー。「いつも前進していたい」(佐藤伸治)。 3) 同曲はテレビ番組「スターはポチだ!」のエンディング・テーマとなった。その件に関しては「いま思うとばかばかしい」とメンバーの一人は語っているが、ジャケットにはこの番組合わせて描かれた佐藤伸治による犬の絵が使われている。そして裏ジャケットではメンバー全員が犬になっている。

ウォーキン・イン・ザ・リズム【WALKING IN THE RHYTHM】(曲)

1) リズムに併せて歩くこと。 2) フィッシュマンズの定番“歩くシリーズ”最新作。しかし「ウォーキン」のような足取り軽い弾むようなリズムではなく、まるで夢の中で歩いている時のような心地よい重さがあり、周囲は仄暗い。『ロング・シーズン』の流れを組む作品と言えよう。3) アルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録。マキシ・シングルも発売。4バージョンが収録。次になにをすればいいのかわからなくなったら、とりあえず歩いてみるとか…。

ウェディング・ベイビー【Wedding Baby】(曲)

1) 結婚式ベイビー。結婚式で歌う「いかれたベイビー」を一言で表している。 2) 5作目のシングル「いかれたベイビー」のパーティー・ライブ・バージョン。実際に友人の結婚式で演奏されたもの。伴奏はハカセ。ひとの話し声やまばらな拍手が臨場感を感じさせ、一段と愛のある仕上がりにマキシ・シングル「メロディ」に収録。

うえだただし【上田禎】(人)

カセ脱退後の短期間、フィッシュマンズのライブ・サポートを務めたキーボーディスト。『空中キャンプ』で「すばらしくてナイス・チョイス」のすばらしく印象的なピアノを弾いている。

ヴォックス・エーシー30・リバーブ【Vox AC30 Reverb】(機)

1) 佐藤の使用しているギター・アンプ。 2) 2年ぐらい前に事務所に眠っていたものを見つけてからずっとレコーディングにもライブにも使用している。少々ノイズがうるさいのも…味か?

ウォルター・ウッズ【Walter woods】(機)

1) 柏原が使用しているベース・アンプ。 2) とても小さくて持ち運びも便利。色は赤で、見た目もかなりよし。NASAの人がつくっているらしく、あまり手に入らないらしい。柏原は非常に運がよかった…。

うしろすがた【うしろ姿】(曲)

1) ひとが去って行くときに見せる貌。あるいは拗ねていることを知らせる姿勢。言葉を使わずに自分の人生態度などを伝えたいときに見せるもの。語例/こどもは親の―――を見て育つ。 2) しかしこの歌は前方を歩く恋人と犬を見る幸せな男の歌である。 3) フィッシュマンズのアルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録。

うちゅう にっぽん おくだイズム【宇宙 日本 奥田イズム】(題)

1) 宇宙=中国の思想では、「宇」は天、「宙」は地。併せて天地のこと。転じて天地間すなわち世間。哲学的には時空内に存在する事物の全体。天文学的にはすべての時間と空間。大宇宙、小宇宙がある。日本=ユーラシア大陸の極東、アメリカ大陸の遥か西に浮かぶ山がちな列島をまとめて呼ぶときの名称。法律的には国家も国旗も軍隊もないユートピアのような国だが、現実にはそれらは全部ある。江戸時代には「サイコー!」という意味の流行語だった。奥田イズム=以下、フィッシュマンズの説明によると、

木「世間で奥田といったら民生だろう、やっぱり」。

藤「俺らも(ツアーで)北に行けるようになってね。奥田イズムを受け継いできた。生きざまっていうかさ」。

木「大マジじゃん(笑)!」

原「奥田イズムは北からだ」(「プール」より抜粋)

Aフィッシュマンズ、1997年秋のツアー→奥田義行

うちゅう にっぽん せたがや【宇宙 日本 世田谷】(題)

1) →宇宙 日本 奥田イズム。世田谷=東京23区のひとつ。23区中最も西の武蔵野台地に位置し、23区中最多人口を擁し、最もボロい区庁舎を誇る。田圃の蛙道を公道化したため、意味の分からない一方通行路と袋小路の走る住宅地。砧公園、駒沢公園、芦花公園、羽根木公園等、大きな公園と遊歩道、点在する野菜畑、そして私鉄3社と環状7号、8号といった産業道路が共存する、渋谷からいちばん近い郊外。フィッシュマンズ関係者が多く在住し、佐藤伸治の庭ともいえる下北沢もこの区にある。 2) 3つつなげれば、フィッシュマンズのアルバム・タイトル。『空中キャンプ』のネガ的作品。『ロング・シーズン』で楽しんだドラマ性のあるサウンド作りがここでも踏襲されている。ずっとマイペースで独自の音楽を創り続けて来たフィッシュマンズが必然的に完成させたアルバムと言えるだろう。サウンドの一部としてのボーカルの使い方が随所に見られる。語りに近いメイン・ボーカルのほかにも、たくさんの“声”が楽器の音に融合している。共同プロデューサー、ZAKによる命名。「ワイキキ3部作」のラストを飾る作品。97年7月24日リリース。

うまくあるけないよ【うまく歩けないよ】(曲)

1) うまく歩くとは、たとえば転ばないで歩く、躓かないで歩く、あるいはモデルのように歩く、爪先で歩く、地上10メートルに張った綱の上を歩く…などが考えられる。反対にうまく歩けないというのは主に酒などで酩酊状態にあるときにしばしば起こる現象。俗に千鳥足という。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。この曲の場合は恋人がそばにいてくれないと失望のために平静に暮らしてゆけない状態を歌っている。小嶋謙介・作。

-- え --[]

エヴリディ・エヴリナイト【エヴリディ・エヴリナイト】(曲)

1) 毎日毎晩。いつも。常に。ずっと。四六時中。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。 3) 過ぎてゆく刹那の永遠の連なりを愛惜しむ気持ちは、その儚さに打ちのめされることなく、むしろ積極的に刹那刹那を見極めようと目を凝らす。穏やかで、非―非生産的な刹那主義の歌。

エーダット【ADAT】(機)

-VHSをメディアに使用する8トラック・マルチ・レコーダー。今はなきハワイ・スタジオでは最大四台使用。主としてボーカル、生楽器の録音に使用している。ライブ・レコーディング時には会場に持ち込んで使用。米アレシス社製。

-- お --[]

オアシスへようこそ【オアシスへようこそ】(曲)

1) オアシス=砂漠のなかで、水が湧き、草木が生きている沃地。砂漠で生きる生物や旅人たちの渇きを癒し、疲れた体を慰める場所。都市生活者を慰めるモノや場所一般にも転用される。ようこそ=来訪を歓迎する時に使われる言葉。 2) フィッシュマンズのマキシ・シングル「メロディ」に収録。ライブでもしばしば演奏されてきたフィッシュマンズの得意曲。ハカセ・作。語例→「こういうのってフィッシュマンズにしかできないっぽいじゃない?」(佐藤伸治)

オー・クライ【Oh, Cry】(曲)

1) 「さあ、泣きなさい」。 2) ライヴ・アルバム『オー!マウンテン』のラストに収録されている小品。

オー・クライム【Oh, Crime】(曲)

1) ライヴ・アルバム『オー!マウンテン』のオープニング・ナンバー。たらたらとしている中にも中にも何かがあると感じさせる予感めいたインストゥルメンタル。ちなみに“大ぐらい”ではない。

――――97【――――97】

このところ単独のライブ・ステージで頻繁に演奏されるオープニング・インストゥルメンタル。佐藤のスキャットとオルガンのリフが絡み合うグルーヴィな小品。メンバー紹介を兼ねることもある。

オーディオ・スポーツ【Audio Sports】(名)

1) 恩田晃、ヤマタカ・アイ、竹村延和によるトリップ・ホップの先駆的グループ。ZAKも在籍していた。アルバム『EAT & BUY & EAT』にはラップでツィギーも参加。 2) 恩田晃はフィッシュマンズにとっては初のリミックス依頼となった「ゴー・ゴー・ラウンド・ディス・ワールド!」のリミックスを担当。

オー!マウンテン【Oh! Mountain】(題)

1) そびえ立つ山を見た驚きの表現。「わっ、山だ!」…って感じ。 2) フィッシュマンズ初のライヴ盤CD。’94年12月に行ったオン・エア・イースト(東京)、チキン・ジョージ(神戸)、ミューズ・ホール(京都)、ネオポリス(広島)、ドラムBe-1(福岡)、ラ・ママ(東京)でのツアーを録音、さらにスタジオでリミックスを加え、お手軽なはずのライブ盤の存在意義を世に問いただし、なおかつCDとアナログで異なるミックスを収録したという、仕事嫌いなフィッシュマンズとしては快挙と言える意欲作。もちろん日本音楽界にとっては衝撃作。「ひこうき」や「頼りない天使」「土曜日の夜」等初期の作品が、成熟したフィッシュマンズの演奏で聞ける。70分以上に及ぶ大作。しかし売上の方は“可愛いスマッシュ・ヒット”って感じだった。ハカセ最後の参加作品。 3) フィッシュマンズ初のライブ盤10インチ2枚組アナログ。主な内容については 2 を参照。ただし、「オー・クライム」「土曜日の夜」「なんてったの」はCDとは異なるダブ・バージョンを収録。ちなみにジャケットに写っている佐藤伸治の背後にそびえているのはアメリカ・アリゾナ州のラプトンという崖。95年3月17日リリース。

おくだよしゆき【奥田義行】(人)

1) フィッシュマンズの大ボス。元祖ボス。RCサクセションに「ボスしけてるぜ」と歌われた男。 2) スウィング・ウエストのボーヤに端を発し、ホリ・プロ/カレイドスコープを経て、モップス、井上陽水、原田真二、忌野清志郎、フィッシュマンズ…と希有な才能を見つける才能には確かなものが。下戸。情熱家。慌て者。ロマンチスト。年齢不詳。 3) ある日、内戦のカンボジアからひとびとが脱出する映像を深刻な表情で見つめていた奥田は、画面がCMになったのでチャンネルを変えた。するとちょうど子供番組を放映していたそのチャンネルでは被りもののキャラクターが躍っていた。奥田は突然声を上げて笑い始めた。「くっくっくっ。ああおかしい! くっくっくっ、はっはっはっ」。社員たちは、傍らで会議中の客人たちに向かって「恥ずかしい…こんなところ見られるなんて」とほんのり頬を染めた。たぶん一生、金持ちにはなれない(と思う)ナイスなオジサン。→宇宙・日本・奥田イズム。

オジケン【オジケン】(人)

嶋謙介の愛称。オザケンと間違えないように。→小嶋謙介

おじまけんすけ【小嶋謙介】(人)

ィッシュマンズの元ギタリスト。大学の同級生だった佐藤伸治とバンドを結成し、「グッド・モーニング」「土曜日の夜」「あの娘が眠ってる」などを作る。現在はデザイナーとして活躍中。通称“オジケン”。

おとなしかったのに【おとなしかったのに】(曲)

1) 以前は物静かで穏やかだった、のに…いまは!?  2) フィッシュマンズ最初期の未発表曲。

オレンジ【ORANGE】(曲)

1) 柑橘系の果物。もしくはその果実の色で、赤と黄色を混ぜた色合い。光の波長が長いため、朝や夕方の太陽がこんな色に見える。 2) フィッシュマンズ、4作目のアルバム。1994年春、スランプに陥っていたフィッシュマンズは天才PA&プログラマー、ZAKの提案によりロンドンへと導かれる。ロンドンの乾いた空気と平凡な食事、周りはガイジンばっか、という環境はみるみるうちにフィッシュマンズに生気をよみがえらせ、佐藤伸治は次々と会心の作品を作り上げた。日本では徹底的に内気だった彼らだが、今作ではかなり外向的。フィッシュマンズの意外な外弁慶的資質を生かした好作。94年10月21日リリース(セカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』のぴったし2年後)。アナログ盤も同時発売された。このジャケット・フォトがまた…。

-- か --[]

カールトン&ザ・シューズ【Carlton and the shoes】(名)

ングル「メロディ」のビデオ・クリップ内で佐藤伸治が購入しているレコード。

かえりみち【帰り道】(曲)

1) 自分の家や元来た場所に向かう道。家に近づくにつれ、懐かしさや安心感から空腹感、疲労感を思い出したりする。家に帰りたくなくてするのは寄り道。道路工事でさせられるのが回り道。ほかにも近道。畦道、茶道、武道などの道があるが、必ずしも仲間ではない。 2) フィッシュマンズの4thアルバム『オレンジ』に収録。仕事がうまくいかなかった日の帰り道に口ずさんだりすると、もう永久に家には着かないかもしれないという気分に襲われるので注意。

かげどろぼう【影ドロボウ】(曲)

1) 影を悪魔に売った男、影に見放された男、そして影を盗まれた男の話など、古今にかげと男を巡る話は多い。→影踏み。影武者。影絵。伊賀の影丸。 2) デビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』に収録。いわゆるひとつの悩める友を慰める歌。しかし佐藤伸治の慰め方はちょっと違う。くよくよ悩んでいること自体がバカバカしく思えてくるような思い切った人生訓入り。“変わった人”向き。“不思議ちゃん”にもお薦めの一曲。

かしわばらゆずる【柏原譲】(人)

1) フィッシュマンズのベーシスト。68年12月20日生まれ。 2) デカくて重くてブットいベースはフィッシュマンズ・サウンドの大黒柱。そして機械に対する探求心は他の追随を許さない。テレビゲーム機から自動車まで、これまでに分解したマシンは一万五千種を越えるばかりか、その7割を復元。とにかく構造を知ること、それがユズルの人生のテーマ。そんなわけで、フィッシュマンズの元に届いた新しい楽器、機材はすべて彼の手によってネジ一本まで構造が暴かれ、使いこなすための基礎理論が打ち立てられる。フィッシュマンズ・サウンドに打ち込みやサンプラーが多用されるようになったのも、おそらくは彼の機械への偏見なき好奇心によるものだと推測されている。 3) 寡黙にして常に“自分自身でいること”を心掛け、調子にのったり浮かれて我を忘れるということはない。ライブの最中、どんなに会場中がすべてを忘れて盛り上がろうと、ユズルくんだけは冷静に状況を把握している。その落ち着いた風貌、表情からはとてもそうは見えないが、実はフィッシュマンズのメンバー中、最年少。 4) 好物は唐揚げ。アンチ巨人。得意料理はカレー。

カスタネッツ【カスタネッツ】(名)

1) 87年5月、明治学院大学の音楽サークルで出会った小宮山聖と牧野元が結成したバンド。同大学の先輩である佐藤伸治にメンバーを横取りされまくり苦労した経験をもつ。アルバムに『リビング』『パーク』がある。 2) 小宮山「伸治さんが3年にいたときに、俺らが1年で入って。で、伸治さんが(当時カスタネッツにいた茂木)キンちゃんに目を付けて連れてっちゃって、僕ら二人きりになって、それから受難の時代が始まったわけだな(笑)。で、その後、ベースの(柏原)ユズルが入ったんだけど――」 牧野「それを伸治さんが観に来て連れて行くって感じで……青田刈りをされるという。あれは一時恨んだね」 小宮山「ほいですごい怒ってたんですけど、伸治さんから電話がかかってきて『ごめんね』って言われて、『いや、大好きです』って言っちゃった」 牧野「伸治さん、自分で集めないからな」(ジャパン/94年8月号)

かわさきだいすけ【川崎大助】(人)

1) 雑誌「米国音楽」編集長。 2) フィッシュマンズをデビュー当初から「ロッキング・オン」誌等でとにかく強引かつやみくもに大プッシュ、そして猛烈に啓蒙してきたスゴい奴。いやいや、おかげさまでフィッシュマンズも結成10周年を迎えております。

かわなべひろし【川辺浩志】(人)

1) TOKYO NO.1 SOUL SETでDJを担当する音楽プロデューサー。キミドリのクボタ・タケシとS.O.N.Y.なるプロジェクトを組み、ソニーからもアルバムをリリース。新宿カタリストの木曜はこの人にお任せだ(月曜にはワックス・ドライブが時々フィッシュマンズをプレイしている)。 2) 最近ではなんと言ってもフィッシュマンズ「マジック・ラブ」のリミックスが話題。同シングルのカップリング曲なんですよ。もう聴きましたか? 無口な酒飲み。

かんしゃ(おどろき)【感謝(驚)】(曲)

1) ありがたく感じること(意外なことに心が騒ぐ。眠りから覚める。気がつく)。 2) 一生コドモでいることは本当の幸せとは言えない。というか、ある時コドモであることをやめたからこそ出会う大きな幸福というものがある。同じ人の印象がある日突然、一変する驚きは、新しい自分に出会った喜びでもある。簡単には説明できないが、名曲である。 3) 『オレンジ』及び『オー! マウンテン』に収録。

-- き --[]

キースもてぎ&マーガリントーンズ【Keith Motetgi & Margarinetones】(名)

1) ドラム&ヴォーカル=キース茂木、ベース=ナーインボール柏原、ギター=ダーツ関口、キーボート=キューティー・コビンによる4人編成のバンド。 2) 96年2月7日、福岡DRUM Be-1で行われたフィッシュマンズのライブに突如現れ、ジミー・クリフの「メニー・リバーズ・トゥ・クロス」を演奏した。活動はいまのところ後にも先にもこの1曲だけ。

きぬたこうえん【砧公園】(地)

1) 東京都世田谷区にある大きな公園。昼は美術館、夜は暴力とセックスで有名。 2) 『ネオ・ヤンキーズ・ホリディ』のジャケット撮影や「いかれたベイビー」のビデオ撮影場所。「オアシスへようこそ」のタイトルのヒントになった水飲み場もある。環状8号線と東名高速道路に囲まれた地獄のような環境に浮かぶ、まさに“都会のオアシス”。

きぶん【気分】(曲)

1) ある一定期間だけ持続する感情の状態。場合によって長短はあるものの、一定期間を経るときまって変化してしまうので注意が必要。 2) フィッシュマンズの4thアルバム『オレンジ』のオープニング曲。個人的な経験を大きな世間にまで普遍化した外向きのスタンスは、アルバムの雰囲気をリードしている。

きみだけがダイヤモンド【君だけがダイヤモンド】(曲)

1) ダイヤモンド=純粋な炭素からなる鉱物。光への屈折率が大きいので暗いところでもキラキラ光る。硬度が高くレコード針に使われる。値段も高いので争いの種になることもある(→「金色夜叉」)。 2) フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。瞬間オチのラブ・ソング。「いったい何が言いたくて最初の一言をいったのよ?」と女は憤慨するが、男の子が“照れ屋さん”だということはよくあること。が、「甘えてんじゃないわよ」という女の言い分ももっともかもしれない。ベースは佐藤伸治。

きゅうじゅうにちかん・トテナム・パブ【90日間・トテナム・パブ】(名)

1) 坂井真紀がデビューを飾ったフジテレビのドラマ作品。淡々としたオシャレなドラマだったらしいが、記憶に焼き付けている者はもはやスタッフ内にはいない。 2) 同シリーズの「バナナ・チップス・ラブ」でオリジナル・ラブがブレイクしたのに続けとばかりに、フィッシュマンズも「100ミリちょっとの」を佐藤が書き下ろしたが…

きょくもくしょうかい【曲目紹介】(曲)

1) ラジオやコンサートなどで演奏曲目について述べること。 2) フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。ボイスはプロデューサーの窪田晴男氏。バックに流れる「なんてったの」のキーボード・フレーズをバックに、窪田氏の司会者風語りが一種異様な風情を漂わせている。

きょういく【教育】(曲)

1) 教えて育てること。人を導くこと。知識を授けること。一般には、善い方向、望ましい姿に導くことをいう。 2) フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』のラストを華々しく飾る曲。 3) 佐藤伸治が満を持して社会に問いかけた、いま青少年らにもっとも訴えたい一言。本当に一言。やっぱ控えめっつーか。

キング・マスター・ジョージ【KING MASTER GEORGE】(題)

1) 11世紀、ヨーロッパの小国を治めたマスター・ジョージ王。笑わなくなった娘のために国中のプロ及びアマチュアのコメディアンを集め、城内を一大エンターテインメント・ホールにしたが、それでもニコリともしない娘に手を焼いていたとか。 2) フィッシュマンズのセカンド・アルバムのタイトル。元パール兄弟の窪田晴男氏をプロデューサーに迎え、山中湖畔で録音。インストゥルメンタル・ナンバーや一発ギャグ・ナンバー、ディレイを多用したダブ・ミックス等、意欲的な実験精神に富んだ作品となっている。テーマは“ストロング”。ちなみに裏テーマは“長編大作ジゴロ~俺が泣かせた女たち”だったらしい。「窪田さんはひたすらバンドを盛り上げてくれた。プロだった。でも最初はお笑いだった」(佐藤伸治)。92年10月21日リリース。

-- く --[]

くうちゅうキャンプ【空中キャンプ】(題)

1) 空中、つまり大空のなかにキャンプを張ること。 2) 通算6作目となるポリドール移籍第一弾アルバム。そしてワイキキ・スタジオで生まれた最初の作品。または現在の3人編成で作った一作目。 3) どんな大音量で聴いても暴力性のかけらも発現しない、柔らかく包み込むようなサウンドは、分解してみるとベースとドラム中心のけっこうシンプルな構造だが、いくつもの魔法の音がそこかしこに隠されていて、聴くたびにさまざまな襞を見せる、そんなサウンドと、なんでもない言葉で、生きて暮らしているということへの諦念を明るく乾いた言葉で表現し、なおかつ玩具としてではなくひとを取り巻く空気の中に希求されるようなサイケデリックを実現した90年代の音楽シーンにおける奇蹟。世田谷トリップ・ホップ、渋谷系ネオ・サイケデリア、といった奇妙な表現が沢山生まれた。96年2月1日にリリース。CDは初回のみカラー盤。

くつした【くつ下】(曲)

1) 足を保護したり保温するために履く袋状の布。長いものもあれば短いものもある。中ぐらいの長さのものはハイソックス。 2) フィッシュマンズの未発表曲。ライブでは90年くらいに演奏されていた。少数だが熱心なファンをもつ作品だったらしい。

グッドモーニング【Good Morning】(曲)

1) 朝のあいさつ[英語]。 2) かわいいレゲエ。デビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』に収録。小嶋謙介の作品。

クロスロード・ミュージック【Crossroad Music】(名)

部地区で愛情あふれるプロモーターを探している方にお勧めのイベンター。もちろんフィッシュマンズも愛を求めてヤバいほどお世話になっています。担当は船津氏。泣ける感じです(?)。

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ケニー・ドーハム【Kenny Doham】(人)

1) ジャズ・トランペッター。 2) 佐藤伸治に影響を与えた人物。「すごく下手だし、音も枯れ気味で変わってるんだけど“これだ!”と思いましたね」(佐藤)。

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ごきげんはいかがですか【ごきげんはいかがですか】(曲)

1) “ハウ・アー・ユー?”という意味の日本語。口語ではあまり使われず、主に手紙などで常用される常套句。 2) 最初のマキシ・シングル「コーデュロイズ・ムード」に収録。常套句で始まるシュールな歌。物静かな中に暖かさと冷たい毒が同量盛られているような。FMのNACK5のテーマソングとして作られた。

こぐれしんや【木暮晋也】(人)

1) ヒックスヴィルのギタリスト。いついかなるところでもリーゼントと黒ぶちメガネで決めている。 2) 95年頃はフィッシュマンズのサポート・メンバーとして活躍。96年9月19日に行われたフィッシュマンズのライブでは、この日のために佐藤が徹夜で木暮をフィーチャーしたビデオ「黒メガネ」を制作し、当日の開場中に上映された。「一緒にやってみて思ったのは、うまくはないけれど、あの音色とチャラチャラしたヤクザなギターは非常に魅力的だなということでした。あと調子がいいときのリズム感もかなり良かった。昔のレゲエ~ロックステディのギタリストとか、ハウンドドッグ・テイラーに通じるものがありますね。あのフレーズから音色から、あの佇まいまで全てがB級で錆びついた感じ。ものすごく勢いはあるんだけど“なんか、錆びてるなあ”というか。全身B級で、楽屋では常にB級なギャグを言ってたし、ライブでもふと横を見るとものすごく真剣な顔でB級なソロを弾いてたりして」(佐藤伸治/バーフ・アウトvol.15) 3) 『宇宙 日本 世田谷』ではたまたまワイキキビーチに遊びに来たため、「ウォーキン・イン・ザ・リズム」のコーラスに参加。

ゴーゴークラブですれちがい【Go Go Clubですれ違い】(曲)

1) ゴーゴーを踊るクラブですれ違うこと。 2) フィッシュマンズのデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』に収録。何の懐疑もなく女性的ジェンダーを恋愛という個人の関係に持ち込んで来る女に対して、当然のように男性的ジェンダーを押しつけられる不快さを率直に歌った毅然たる作品。時はバブル経済の真っ最中、女たちはライトな三高男獲得に熱中し、男たちはいそいそとアッシー、メッシー、ミツグ君に立候補していた。ほとんどバカでも高収入にありつくことができた時代、ちょっとリッチな生活さえできればいいという貧困な志しかもたない男や女たちは滅多なことでプライドの危機に直面することはなかったのだった。しかし、バブルは遠くなった現在にあっても、この歌は充分過ぎるほど真実を語っている。

ゴー・ゴー・ラウンド・ディス・ワールド!【Go Go Round This World!】(曲)

1) この世界を回ろうね!  2) 94年に発売された4曲入りマキシ・シングル。同曲の2ヴァージョンのほか、「スマイリング・ディス・サマー・ホリディ」、「フューチャー」(オリジナルは『チャッピー・ドント・クライ』に収録)のリミックスを収録。 3) 同名マキシ・シングルのタイトル曲。あたかも《事実・真実》みたいな顔をしている遠い歴史の記憶よりも、不確かでつかみ所のないいまを感じることで初めて前に進める、というような実存主義的な考え方を歌った歌。

―――(ネイキッド・ファンク・ミックス)【―――(naked funk mix)】

キシ・シングル「Go Go Round This World!」に収録。オーディオ・スポーツの恩田晃&ZAKによるリミックス。生演奏に近い。

コーデュロイズ・ムード(きぶんはコールてん)【Corduroy’s Mood(気分はコール天)】(題)

1) コーデュロイはビロードに似た木綿の畝織物のこと。コール天とも言う。 2) 1992年12月に発表されたフィッシュマンズ初の4曲入りマキシ・シングル。レゲエ主体だったファースト・アルバムとは打って変わった静かでメロディアスな選曲。「冬の夜にふさわしい曲ばかり集めてみました。ジャケットはあなたのお好みに合わせて選べる5タイプがもれなくついています」(宣伝部)。しかしけっこう辛辣。

こだまかずふみ【小玉和文】(人)

1) スカ~ブルービートを演奏するインストゥルメンタルのバンド、ミュートビートのリーダー。代表作に『スティル・エコー』など。 2) フィッシュマンズとの初対面は89年11月3日、大東文化大学学園祭での無国籍カーニバルにて。ミュート・ビートの大ファンで「ライブは必ず観に行った」佐藤伸治は、ステージ上から「小玉さん見てますかー」と呼びかけ、ライブ終了後、楽屋を訪ねてコルネットのケースにサインしてもらった。一方、小玉氏は、こんなフィッシュマンズに請われてデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』のプロデューサーを引き受けたはいいが、初のアルバム・レコーディングで気張っていたメンバーの反抗的態度に苦しめれる。特に、当時完全主義者だったらしい佐藤の「小玉さん、ダメだよ、これただのレゲエじゃん」という言い草にはさぞかし唖然としたことだろう。

コルネット【Cornett】(名)

1) 金管楽器の一種。トランペットの仲間。力強い高音域から哀愁味のある中低音域までバラエティ豊かな音色を持ち、コルネットはとくにトランペットよりメロウで柔らかい。 2) 佐藤伸治がデビュー前より愛用している。最近のライブではなかなか披露されることはないが、「チャンス」「頼りない天使」などの演奏では必ず登場する。

ゴルフ・ワン・ディーゼル【Golf One Diesel】(車)

藤伸治と柏原譲の前の愛車。佐藤が免許を取って初めて買った車。水色でとても綺麗な車だったが、三ヵ月ぐらい経った時には疵だらけになっていた。そしてルノーを買うことを決意した佐藤は柏原にこの車を譲る。柏原のところに渡ってすぐ同車は水漏れが激しくなり、ほかにもトラブル続出。その為、廃車となった。無念。

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-- さ --[]

サウンド・クリエイター【Sound Creator】(名)

1) 関西方面で行われるフィッシュマンズのライブ制作にあたっているイベンター。 2) 関西地区にもかかわらずゆったりとかかわってくれるプロモーターをお探しの方にお勧め。というようりも…清水&篠原コンビがハワイのタコ焼き屋にいるかのような雰囲気にさせてくれるところが特徴というか。ここではなぜか“~でござる”が公用語。

ザック【ZAK】(人)

1) エンジニア。プロデューサー。ライブP.A.。劇団・維新派からフリクションまで手掛ける才人。元オーディオ・スポーツ。 2) フィッシュマンズの4thアルバム『オレンジ』から共同プロデュースにあたり、後にいわゆる“ワイキキ3部作”をつくりあげる。 3) どんなに「音が悪い」と言われる会場でも、一つ一つの音をクリアに響かせる技はもはや人間技ではない。ほんとに思わず笑っちゃうくらい耳がいい! 若山富三郎のファン(?)。彼とのコラボレーションは、97年8月24日、赤坂BRITZにて終了。

さとうしんじ【佐藤伸治】(人)

1) フィッシュマンズのボーカル、ギター、ソングライトを担当。66年2月16日生まれ。東京都出身。 2) 中学時代よりパンク・バンドなど、いくつかのバンドで活動。フィッシュマンズ結成当初はベースを弾いていた。ほかにも、コルネットを吹いたり、カンフー・ダンス踊ったり、また時には画家として「ひこうき」や「ウォーキン」のジャケット・アートも手掛けている。今は亡きハワイ・スタジオ階下のあワイキキ・オーシャンビュー・ホテルの壁も佐藤画伯の作品で埋められていた。そうそう、昔のシングルCDジャケット裏では小嶋謙介と共に4コマ漫画家としても活躍していた。ジオラマやビリヤード、水泳のほかにも時によって幾つかの趣味をもっているらしい。これらの地道な生活のなかで、人間の心にあるごく些細な揺れなどを感じとり、歌を作って歌う。ごくごく日常的な言葉で人生の核心を衝くセンスは宇宙に誇る世田谷の逸材。「東京行って一旗あげよう」などと思う契機がないためなのか、なんとなくいつまでも成り行きでずるずる生きてしまい、目的や野心や対抗心などをもてない割に、根拠のない勝ち気なところを捨てられない東京育ちの弱点を見事に活かしている。噂によると、ちょっとしたアイディア・マンなのだが、そのことで怒られる(誰に?)こともあるらしい。全体には「謎めいている」という評価を受けている。本人は「僕は何やってもいいみたい。だってみんな、佐藤くん、いいよいいよって言ってくれるし…」と強弁している。かわいい顔して実は確信犯。女の子にはすごくモテる(本人弁)。下ネタと下ネタを言う男を憎んでいる。将来の夢は喫茶店経営で、春夏は遊んで暮らすことだというが、自営業には帳簿つけとか青色申告などが不可欠だということを知っているのだろうか…。

ザ・ナインティ・デイズ【THE 90 DAYS】(題)

ラマ「90日間・トテナムパブ」のオリジナル・サウンド・トラック盤。フィッシュマンズの「100ミリちょっとの」(シングル・バージョン)のほか、フランク・チキンズ、サイモン・フィッシャー・ターナー、リーア・マッドネス、クライヴ・ベルの曲を収録。

サニー・ターボ【Sunny Turbo】(車)

1) 日本車。 2) 茂木がつい最近まで乗っていた車。同車はエンジニアのZAKが知り合いから譲り受けたものを次にHONZIが譲り受け、最終的に茂木の元に渡ってきたもの。ターボというだけあって、早いのなんの…。

サニー・ブルー【SUNNY BLUE】(曲)

1) サニー=陽当たりのよい、あるいは陽気な。ブルー=青い、あるいは憂鬱な、もしくはブルーズ。一見矛盾する表現のようだが、90年代の世田谷、いや日本での暮らしを丁度よく表している。 2) フィッシュマンズの6thアルバム『空中キャンプ』に収録。また、ヒックスヴィルによるリミックス・バージョンをシングル「ベイビー・ブルー」のカップリング曲としても収録。レネゲイド・サウンドウェイブを思わせるブレイクビーツ風のロック・ナンバーで、96年にはライブのセミ・クライマックスでよく演奏された。

――(ヒックスヴィル・ミックス)シングル「ベイビー・ブルー」のカップリング曲。ヒックスヴィルの生演奏、生歌入りリミックス・バージョン。

さのとしや【佐野敏也】(人)

1) シングル「ナイトクルージング」以降のフィッシュマンズを担当するレコード・ディレクター。静岡サイケ地区生まれ。 2) マガジンハウス書籍部のアルバイトを経てポリドール入社。フィッシュマンズのほかに山崎まさよしを担当し、97年に入ってからというものとにかく絶好調との噂。ちょっぴり気が弱いが、通すところは通す!と本人は主張。前歯が抜けたままで、経費清算が苦手。戦略を見せない戦略家かもしれないし、ただのラッキー・ボーイかもしれない。実は二重人格(自称)。

ザ・フィッシュマンズ!【The Fishmans!】(名)

1) The=英語の定冠詞。話し手、聞き手が相互に了解している限定された名詞につける。 2) ライブで佐藤伸治が叫ぶMCのひとつ。ちなみにバンドの正式名称はフィッシュマンズのみである。要するにライブの時だけなぜか“ザ”がつくのだということをもって回って書いてみたのである。

サンキュー【Thank You】(曲)

語で「ありがとう」の意。ライブ・アルバム『オー! マウンテン』に収録。雑誌「米国音楽」の付録CD用に録音された「バナナメロン」を改題したもの。休息の大切さを歌ったストレートなレゲエ・ナンバー。軽い病気の時なんかに聴くと心の底から納得できる。しかし病が軽い場合、お見舞いにバナナは望めてもメロンはちょっとムリかもしれない。

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しあわせもの【幸せ者】(曲)

1) 幸せな人のこと。ただし、日本列島にはあまりいないとされている。 2) フィッシュマンズの6thアルバム『空中キャンプ』に収録。これがまたホントに幸せな曲なんだなー。

シーズン【SEASON】(曲)

1) 季節[英語]。四季の、その折々。春夏秋冬。 2) フィッシュマンズの9thシングル。夢と現実の狭間で当てどなく頼りなげにさ迷う気持ちを歌った曲。→ロング・シーズン。

シーフードレストラン【シーフードレストラン】(曲)

1) いわゆるひとつの海で採れた幸を主に料理するレストラン。 2) フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。佐藤伸治とハカセの共作。 3) 生きたままで煮立った湯にほうり込んだり、燃え盛る火であぶったり、そして真っ赤になって湯気を立ててるエビなんかを「やっぱり新鮮な素材は違うなあ」なんて言いながらほう張る場所。シーフード・クッキングはワイルドというか、人間はいとも簡単に残虐になれるというか。 4) ちなみに97年、オーストラリアのさる州では、エビなどを生きたまま調理するのは残酷として、これを禁止する法律が議会で可決された。 5) しかし、魚男たちによるシーフード料理とは…ちょっとブラック。

しずかなあさ【静かな朝】(曲)

1) 騒音レベルの低い朝のこと。“朝の騒音”とは、たとえば登校中の子供の声とか、その子供をせかす母親の声とか、通勤するマイ・カーの走行音とか……。あるいは目的地に目的時間に着かなければならないときの心のなかのざわめきとか。つまり「静かな朝」というのは、休日の朝のことだと考えられる。 2) マキシ・シングル「メロディ」に収録。 3) たぶん、日曜日の午前中かなんかにどこの公園でも見られるような幸せな家族いる風景を歌った曲。

ジャスト・シング【JUST THING】(曲)

1) 正しい考え[英語]。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。後のフィッシュマンズを予感させた重要な曲。「(歌詞で言えば)僕は「ジャスト・シング」が最初の変化かなと思った。あれが『空中キャンプ』に行くまでの始まりだと思ってる。“刃物ちっく”というのかね、僕からすれば、ちょっと抉られてくるような感じになってきたんだ」(茂木欣一/スタジオ・ボイス/97・10)。JUST THING!

しゅうだんさせん【集団左遷】(題)

1) 94年東映系公開の映画。監督・梶間俊一。主演・柴田恭兵。音楽・小玉和文。 2) 映画『集団左遷』のオリジナル・サウンド・トラック集。柏原譲、茂木欣一、ハカセが参加している。リコ・ロドリゲスのトロンボーンが、暗く霞んだ空気を運ぶ。97年、『ドレッド・ビート・イン・トーキョウ』と改題され、オーバーヒート・レコードより再発された。

じんぐうまえちゅうしゃじょう【神宮前駐車場】(場)

1) 渋谷区神宮前にある駐車場。 2) マキシ・シングル「コーデュロイズ・ムード」のジャケット撮影場所。スタイリスト、ヘアメイクばっちりでキメた最後の撮影。「次の『キング・マスター・ジョージ』が出る前くらいに、そういうのやめようって、合わないって思ったの」(佐藤伸治「プール」9号)。

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すくわれるきもち【救われる気持ち】(曲)

1) ある力を添えてもらったために危機から免れられたという心の状態。 2) フィッシュマンズ初のマキシ・シングル「コーデュロイズ・ムード」に収録。作曲は佐藤伸治とハカセの共作で、ゆったりとしたピアノ曲となっている。救ってくれるのは、大切なひとの幸せな顔。

――(ライブ・バージョン)91年12月13日、インクスティック鈴江ファクトリーで演奏され、3年後にリリースされたシングル「マイ・ライフ」にカップリング曲として収録。これがまた素晴らしいテイク。

スターはポチだ【スターはポチだ】(名)

1) フジテレビ系で放映されたワンワン・バラエティ。いわゆる犬自慢の番組。 2) 同番組にフィッシュマンズの「いなごが飛んでる」と「ウォーキン」が相次いで採用され、後者の裏ジャケットでは番組の内容にあやかってメンバー全員が犬と化している。トホホ。

ずっとまえ【ずっと前】(曲)

1) かなり昔のこと。 2) フィッシュマンズの6thアルバム『空中キャンプ』に収録。歌詞の初出はファンクラブの会報「プール」のずっと前の号。ずっと前に別れた恋人のことへの、あれこれ、いろいろな、実に複雑な感情を歌っている。やっぱりこういう感情は一つにはまとめられませんね。 3) 97年春、『空中キャンプ』に一目惚れした糸井重里氏の強力な推薦により、氏が制作するスーパー・ファミコン・ゲーム・ソフト「糸井重里のバス釣りNo.1」(任天堂)のCMソングとなった。アルバム発売から1年近くが経過してからのことだった。

スー・パー【スー・パー】(曲)

1) 煙草を吸って煙を吐くときの擬音。“スーパー”となると特製品、あるいはエキストラを指す英語となる。超越、やり過ぎを意味する前置詞でもある。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。一日が終わろうとしている時に覚える満足感について歌った曲。アルバムを聴き終える時に感じる満足感と重なり合っているところがまたニクい。

すばらしくてナイスチョイス【すばらしくてNICE CHOICE】(曲)

1) 際立って盛大な選択。 2) フィッシュマンズの6thアルバム『空中キャンプ』に収録。そして同アルバムのクライマックスをなしている曲でもある。歌詞、サウンドともにフィッシュマンズの醍醐味が凝縮された傑作。ミックスに最も時間をかけて仕上げられた曲。“ナイス・チョイス”の二語は『オレンジ』のジャケットですでにお目見えしているが、これは当時のフィッシュマンズ周辺で流通していた流行り言葉だった。 3) 「あれ、なんでシングルにしようとしなかったんだろうなあ?」とは1年後に佐藤がつぶやいたひと言。

スペシャル・ナイト【SPECIAL NIGHT】(曲)

1) 特別な夜。同じ毎日が毎日同じようにやって来ても、ときには陽気なスペシャル・ナイトもある。何が特別かって? それはひとそれぞれでしょう。 2) キャプテン・レコードのオムニバス『パニック・パラダイス』及びデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』に収録。

スマイリング・デイズ・サマー・ホリデイ【Smilin, Days, Summer Holiday】(曲)

1) 微笑む日々、夏の休日。 2) アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。コワいほど爽やかな曲。

―――(キック・ザ・スペース・エコー・セッション)【―――(Kick the space echo session)】(曲) マキシ・シングル「ゴー・ゴー・ラウンド・ディス・ワールド」に収録されたリミックス・バージョン。ライブでやっていた感じでセッション。ドラムが弾んでる。

スロウ・デイズ【Slow Days】(曲)

1) のんびりとした日々。ゆっくりとした日常。 2) 日々は日々、ゆっくりと思い出になっていって、僕の後ろにドラマが積もる。止まったようなだるい毎日に人生を思ってみたりして。それは大袈裟なものなんかじゃないんだけどね。6thアルバム『空中キャンプ』に収録。ビデオ・クリップも制作された。

-- せ --[]

せきぐち“ダーツ”みちお【関口“ダーツ”道生】(人)

1) フィッシュマンズのライブ・サポートを務めるギタリスト。札幌出身。元スーパー・バッド(このバンドはメンバー全員が黒のスーツで決めていた)。 2) いわゆるひとつの“飲ん兵衛”。愛用楽器は響きも確かなフェンダー・テレキャスター。

せんりゅう【川柳】(作)

ァンクラブ会報に届いた川柳がなかなかよくできているので紹介いたします。「サトウくん 年上なのに サトウくん」(イトウトモコさん)、「友人は 何度言っても フィッシュマン」(成田伸子さん)、「どれが誰? わからんはずだよ 電グルだ」(東海林釈子さん)。このように会報「プール」ではみなさんの作品を発表するスペースも設けております。不定期ですが素敵なプレゼントなどもご用意しております。競争率が高くなり過ぎないうちに奮ってのご入会をお薦めします。

-- そ --[]

ソーゴーとうきょう【ソーゴー東京】(名)

1) コンサート制作会社。東京におけるフィッシュマンズのライブ・ステージを制作。担当はアフロ木原。 2) 同社はほかに沢田研二、忌野清志郎、イエロー・モンキーなどを手掛け、フィッシュマンズとブランキー・ジェット・シティのライブが重なると[…以下500字伏せ字。]いやいや。

それはただのきぶんさ【それはただの気分さ】(曲)

1) SMAPの稲垣吾郎に佐藤が提供した曲。彼らのニュー・アルバム『ス』に収録。

-- た --[]

ダイビング【ダイビング】(曲)

1) 飛び込むこと。 2) セカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。水泳好きでレコーディングの合間にも“ちょっと”泳ぎに行ってしまう佐藤伸治がさりげなく泳ぐ醍醐味を歌う。文字通り、水のなかを漂うようなダブの小品。

たいへいよう【大平洋】(曲)

1) アメリカ大陸とユーラシア大陸の間に広がる海。かなり広大。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。長期休暇には南の島を訪れる佐藤伸治が、心ひそかにあこがれているライフ・スタイルを歌った曲か?

タック【TAK】(人)

1) スペシャル・スーパー・エンジニア、ZAKの弟子。そのテクニックは一子相伝…のわけがないか。

ダブ【DUB】(名)

ャマイカのプロデューサー、キング・ダビーによって“発見”され、リー・ペリーによって世界に広められたレコーディングの手法。曲の全体ではなく、その一部だけにディレイをかけたり、演奏の一部をカットしたりして、60年代までの録音技術にはなかった、まったく新しいニュアンスを引き出すことが可能になった。

たまがわ【多摩川】(地)

1) 山梨県北都留郡大菩薩嶺北面から東南に流れ、東京都と神奈川県の境で東京湾に注ぐ川。上流は奥多摩の景勝、下流は六郷川。長さ128キロ。 2) 「ナイトクルージング(プラズマ・ミックス)」で聴くことのできる水の音が録音された場所。足音もここで採取された。そしてジャケット撮影やPVも。

たまプラーザ【多摩プラーザ】(場)

1) 昭和40年代、東京郊外に出現した近代的集合住宅。私鉄の駅にもなった。 2) 茂木欣一が育った町。

たよりないてんし【頼りない天使】(曲)

1) 天使=神の使者として神の意を人間に伝え、人間を守護するという何か。 2) セカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』が初出の初期作品ながら、最近のライブでも頻繁に演奏される(とくに野音ではなぜかやりたくなるらしい)。ライブ盤『オー! マウンテン』にも収録。広い世界に恋人と二人きりで取り残されう恍惚と不安は、後の「ベイビー・ブルー」を彷彿とさせる。

だれかをさがそう【誰かを捜そう】(曲)

1) まだ見つけていない人を見つけ出そうとすること。 2) フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。誰か――気の合う“誰か”はそんなにいない。だれからこちらから捜しにいこうというフィッシュマンズとしては破格に積極的な内容の歌。

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チャッピー・ドント・クライ【Chappie, Don’t Cry】(題)

1) 柏原譲の愛犬チャッピーは、譲くんが遠い国で初めてのアルバム・レコーディングという大仕事をしている間、けなげに留守を守っています、という意味。 2) フィッシュマンズのデビュー・アルバムのタイトル。レゲエ主体の愛らしい佳作。プロデューサーはメンバー全員が敬愛する小玉和文氏。 3) 時は湾岸戦争のさなか、オーストラリアのメルボルンへと旅立ったフィッシュマンズは、小玉氏のリードのもと、「早起きして公園でコルネットの練習をして、それからレコーディングをして、夜ゴハンの前には終わる」(佐藤伸治)という規則正しい生活を送り、「後半2週間は時間もあって、市電に乗って買い物に行ったり、海まで歩いていったり」(茂木欣一)もするなど充実したレコーディングを行った。それは「マジで今のバンドのもとになるモノを創った期間」(柏原譲)となり、「日本で最初のロックステディ・アルバムを作ろうと思った」(柏原)という志は達成されたと言える。91年4月21日リリース。

チャンス【チャンス】(曲)

1) 機会。好機。運。見込み。勝算。 2) アルバム『チャッピー・ドント・クライ』とライブ盤『オー! マウンテン』に収録。軽快でフィッシュマンズにしては楽天的なレゲエ・ナンバー。「マジック・ラブ」のプロト・タイプとも言える。それにしてもどこかで聴いたことのあるイントロだなあ…。

-- つ --[]

つかれないひと【疲れない人】(曲)

1) 一緒にいても精神的な疲労を感じない人、の意。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。やっぱり、疲れない人のそばにいたいよねえ。そんな君を呼んでる軽快な歌だぜ。

つなぎ【つなぎ】(服)

1) 上下がつながっている作業着。 2) 96年の後半にフィッシュマンズが取り入れたステージ衣装。ツアーのためのリハーサル時から全員で着用していた。色にこだわる人、形にこだわる人などそれぞれ。

-- て --[]

ティッシュマンズ【Tissuemans】(名)

ィッシュマンズの広告が入ったポケット・ティッシュペイパー。昨年は街角などでも配られていた(ホント)。内職的事務所内工業により製造。現在は製造中止状態だが、注文があればいつでも再開可能(たぶん)。

デイドリーム【DAYDREAM】(曲)

1) 白昼夢。昼日中に見る夢のこと。 2) アルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録。だれもが幸せになる権利をもって生まれて来たという考え方は絶対的に“正しい”。が、その“正しさ”への道を頑張って走り続けること自体がすでに不幸せであるという人間のジレンマを、いとも簡単にときほどいてしまった歌。ギターとバイオリンが泣いている。

-- と --[]

トーキョーナンバーワンソウルセット【TOKYO No.1 SOUL SET】(名)

1) スチャダラパー率いるLBネイションから頭角を現してきた3人組のヒップ・ホップ・グループ。メンバーはビッケ=ラップ/ボイス、川辺浩志=DJ、渡辺俊美=ギター。 2) 96年に『ジュニア』で大ブレイクを果たす。同アルバムは96年後半にフィッシュマンズもライブ前のSEとして多用した。97年5月、神戸チキンジョージでフィッシュマンズと初のジョイント・ライブを行う。そこではフィッシュマンズの曲をブレイクに使ったラップ・ナンバーも披露。 3) そんなこんなでシングル「マジック・ラブ」のカップリング・リミックスは川辺浩志だ!

ドーナッツ【ドーナッツ】(名)

1) 小麦粉と砂糖と卵を主材料とする揚げ菓子。 2) 佐藤伸治の好物。「オールド・ファッションなのよ、生き方としてさあ…」(佐藤)。

ドロップ・ザ・フィッシュ【DROP THE FISH】(檄)

1) 魚を地面に落とすこと。 2) フィッシュマンズの5thシングル「いかれたベイビー」につけられたスローガン。トラブル・ファンクの“ドロップ・ザ・ボム”をもじったものと思われる。

トロンボーンのじゅんさん【トロンボーンの純さん】(人)

宇宙 日本 世田谷』をレコーディング中に、ファンクラブ会報「プール」誌上で公表されたフィッシュマンズの新メンバー。掲載された写真によれば、温厚そうな丸顔で推定年齢50代前半、チェックのシャツを粋に着こなし、すっかりメンバーに溶け込んでいる様子。しかし完成したCDに彼の名前はクレジットされていなかった…。信頼できる筋によれば、純は「ベイビー・ブルー」のTVライブの際、関口道生の代わりにギターを抱えてステージに上がろうと試みたが、TV局側スタッフに止められ断念した過去を持つらしい。ライブへの登場が待ち望まれている。

な~ほ[]

-- な --[]

ナイトクルージング【ナイトクルージング】(曲)

1) 目的もなく夜中にヨットや車で流すこと。この曲の場合は車でする散歩ぐらいの意か。 2) 免許を取得したばかりの佐藤伸治が嬉しくなっちゃってついついつくってしまった曲…らしい。阪神大震災とオウム事件に明け暮れたどん底の95年末にポリドール移籍第1弾としてシングル・リリースされ、それまでとは比較にならない売り上げを記録した。夜気に溶けてしまいそうな淡いボーカルとどこまでも優しいギターのアルペジオ、そして重だるいベース・ラインがその後の彼らのイメージを決定づけたともいえる。『空中キャンプ』にも収録。

――(プラズマ・ミックス) 1) 目的もなく夜中にプラズマを見ること。もしくは原子核と電子が分離して、激しく運動しているガス状態に心を奪われること。ごく簡単にいえば「ナイトクルージング」のダブ・ミックス。 2) 免許を取得したばかりの佐藤伸治が嬉しくてついプラズマを見たかどうかはわからないが、95年末にポリドール移籍第一弾としてリリースされた「ナイトクルージング」にカップリングとして収録。曲の後半は延々と水の流れる音だけで、この曲をクラブでプレイすることはさすがに無理だと思われていたが、水越真紀率いる夏休みサウンド・システムはこれをやってのけたりして。

ナイヤビンギ・ベイビー【NIYABINGHI BABY】(曲)

いかれたベイビー」のやたらとドープな12インチ・バージョン。「メロディ」のアナログ盤に収録。これはかなりもっていかれます。煙たがりさんたちは是非手に入れなければ…。→ナイヤビンギ 下北沢にあるレゲエ・バー。

なつのおもいで【夏の思い出】(曲)

1) 夏につくれらた思い出のこと。 2) 中田喜直のペンになるスタンダード・ナンバー。たいていの人は夏がくれば思い出す~。 3) フィッシュマンズのデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』に収録されたカバー・インストゥルメンタル。ぎこちないコルネットのラインが…いや。

なんてったの【なんてったの】(曲)

1) “なんて言ったの?”の舌ったらずな言い方。文部省ばりに言うなら“なんと言ったのですか?”。セカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。寝ぼけ眼のだれた気分を“君”の言葉が塗り替えてゆく。眠りの国から新しい国が生まれる過程をゆったりと奏でる。作曲は佐藤伸治とハカセによる共作。

-- に --[]

にしかわいちぞう【西川一三】(名)

Aエンジニア。97年8月、『宇宙 日本 奥田イズム』ツアーよりフィッシュマンズのエンジニアとして登場。

ニックネーム【nickname】(名)

1) 親しい人同士がお互いを呼ぶときの呼称。 2) サトちゃん、ユズルくん、キンちゃん、世田谷太郎さん、ブッチ、ビッケ等。

にんてんどう【任天堂】(名)

1) いわゆるファミコンを開発・販売して日本列島にTVゲームの一大ブームを巻き起こしたゲーム・メイカーの老舗。 2) フィッシュマンズの曲「ずっと前」をCMに起用した初の大企業。商品は「糸井重里のバス釣りNo.1」。制作は第一企画。ディレクターは鬼才・轟一騎。

-- ぬ --[]

ヌンチャク【ヌンチャク】(名)(機)

1) 少林寺拳法などで使われる格闘技用の武器。ブルース・リーが使用したことで一躍有名になった。 2) 9thシングル「シーズン」の裏ジャケットでフィッシュマンズのメンバーがこれを振り回している。アブない奴らだ。

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ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ【Neo Yankees’ Holiday】(題)

1) 新しいヤンキーたちの休日。ヤンキーとは、昔の人たちがチンピラと呼んでいたような種類の若者を指す流行語。伝統的なヤクザから切り放された社会未適応者。数年前は街に教室に、電車に、路地に、髪をテカらせて煙草を片手にウンコ座りしていた光景がしばしば見られた。最近の体育座りヤングたちとはちょっと趣が違う。どうせなら永遠の社会不適応者を目指せ!  2) 初のセルフ・プロデュースに挑戦し、手探り状態ながら、現在のフィッシュマンズの出発点となったといえるサード・アルバム。なかでも、佐藤伸治の歌詞がよりイマジネイティブになったことで、今も注目されている。人に転機というものがあるならば、それは明らかにここである。93年7月21日リリース。

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ノイマン・ユー・よんなな【ノイマン U47】(機)

在は製造中止になっているビンテージ・チューブ・マイク。フィッシュマンズはボディがブラックのTVモデルを使用している。佐藤伸治のボーカルはすべて、この高価なマイクで贅沢に収録されている。

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バージン・ジャパン【Virgin Japan】(名)

1) 「笑っていいとも」のプロデューサー・横澤彪氏を代表に据え、鳴り物入りで設立された外資系のレコード会社。その契約アーティスト第1号がフィッシュマンズだった…が、1年ほどで親会社がEMIに吸収され、社員は散り散りに。 2) フィッシュマンズは3枚のシングルとアルバムを1枚残してメディア・レモラスに移籍。バージン・ジャパンからリリースされたデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』は、後にメディア・レモラスから再発されたものとは1曲だけテイクが異なっている(!)。

パール・スペシャル・ヒッコリー【Pearl Special Hickory】(機)

木愛用のドラム・スティック。左は103SH(直径14mm)、右は110SH(直径14.5mm)と、左右違う太さのスティックを使用。ちなみに左ではハイハットを叩き、右でスネアをぶっ叩いている。スティックが折れたことはほとんどない。「以前は力で叩いていたんだけど、ある時期からいくら叩いても疲れなくなっちゃったんだよね」(茂木欣一)。

ハウス【HOUSE】(名)

1) 80年代半ばのシカゴで生まれたアンダーグランドのダンス・ミュージック。 2) フィッシュマンズのサード・シングル「100ミリちょっとの」のカップリング曲「あの娘が眠ってる」(P.W.M.バージョン)は、メンバーによるとハウスを意識したものだそうだけど、どう聴いてもソウルIIソウル式のラバーズ・ヒップ・ホップにしか聴こえないんだけど…。しかし当時は権威ある音楽雑誌でもハウスヒップホップの区別はついていなかったのだった。

ハカセ【ハカセ】(人)

1) フィッシュマンズの元キーボーディスト。 2) フィッシュマンズがキャプテン・レコードのオムニバス・アルバムに参加した時点では、ハカセはまだやはり同アルバムに参加していたムスタングAKAでキーボードを弾いていた。フィッシュマンズはこの時に出会ったハカセに目をつけ、その後も密かにハカセ獲得のチャンスを窺っていた。そして90年3月、ロフトにてハカセによる初サポート・ライブ。ハカセは7月にムスタングAKAを脱退し、11月にはフィッシュマンズの正式加入。…しかしなぜか「ナイトクルージング」のレコーディング中に脱退。現在はやはりダブを演奏するリトル・テンポに参加し、アルバム『ザ・ウェイ・バック・ホーム』ほかをリリース。在籍中につくった曲は「シーフード・レストラン」「ウーファー・ガール」「オアシスへようこそ」など。共作に「頼りない天使」「1、2、3、4」など。

バックビートにのっかって【バックビートにのっかって】(曲)

1) バックのビートにのること…(そのまんまやんけ)。 2) フィッシュマンズのアルバム『宇宙 日本 世田谷』の6曲目に収録されたAOR風ナンバー。ありそうでなかった作風。どんよりとだらしなく、いったいどこまでが自分自身なのかも曖昧になって行くような時にはバックビートに身を任せよう。無重力の夢の中にいるみたいに心地よい。『宇宙 日本 世田谷』では最も早くからできていた曲で、96年からライブでは演奏されていた。もっともアルバム・タイトルを彷彿させる。

バッファロー・ドーター【Buffalo Daughter】(名)

1) 元ハバナ・エキゾチカのメンバーによるオルタナティブ・プログレッシブ・ロック・バンド。ビースティー・ボーイズが設立したレーベル、グランド・ロイヤルと契約でも注目を集める。 2) 同バンドでターンテーブルを担当する山本ムーグはフィッシュマンズのジャケット・デザインを手掛ける売れっ子デザイナーでもある。

バナナメロン【バナナメロン】(曲)

1) バナナ→熱帯アジア原産のバショウ科の多年草。初夏に大きな赤紫の花を咲かせる。果実は熟すと黄色くなり、甘い香りと甘い果肉を楽しめる。オリゴ糖や食物繊維を多く含み、大腸ガン予防食品として注目されている。メロン→アフリカ原産のウリ科の草木。イギリスで改良されたマスクメロンはたいへんおいしいが値段も高い果実の王様と言われる。 2) 二つのおいしさをつなげるとフィッシュマンズの作品名。雑誌「米国音楽」創刊号の付録CDに収録された。その後「サンキュー」と改題され、『オー! マウンテン』に収録されている。

パニック・パラダイス【PANIC PARADISE】(題)

1) バンド・ブームには一方ならぬ力を注いでいた宝島社(当時JICC出版局)が設立したインディー・レーベル=キャプテン・レコードからリリースされたレゲエ系オムニバス・アルバム。同盤にはフィッシュマンズの初録音である「いなごが飛んでる」「スペシャル・ナイト」が収録された。いわばフィッシュマンズのCDデビューである。他に参加しているバンドはSka Funk、ムスタングAKA.、KUSU KUSU、ポテトチップス。このオムニバスでは、ハカセはまだムスタングAKA.のメンバーであった。推定売上は3万枚以上、参加バンドはその後すべてメジャー・デビューを果たしたが、数年後には中古盤屋の棚を占領した。しかし、これをいま見つけるのは至難の業。

パラダイス【パラダイス】(曲)

1) 楽園[英語]。 2) サード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録されたダウン・テンポのスカ・ナンバー。パラダイスなんていうのは、わざわざ探しに行かなくても、部屋の中にだって作ることができると。 3) 88年、まだ大学生だったフィッシュマンズは、この曲を含めた3曲の勢いのあるライブで、渋谷のライブハウス、ラ・ママのステージを踏んだ。

ハワイ・スタジオ【HAWAII STUDIO】(名)

1) 95年夏から97年夏までの2年間、東京・駒場東大前ワイキキ・ビーチ内にあったフィッシュマンズのホーム・スタジオ。レコード会社と原盤会社の共同出資によって設営されたセキュリティー・システム万全の一戸建借家。 2) 設立直前に佐藤伸治が遊びに行っていたハワイ諸島にちなんで名づけられた。シングル「ナイト・クルージング」からアルバム『宇宙 日本 世田谷』まで、数々の傑作を生んだフィッシュマンズの秘密の一つ。窓からは青い海ではなく、淡島通りが見えた。

パンク【PUNK】(名)

1) 70年代半ばにニュー・ヨークで火がつき、70年代後半のロンドンでは社会現象へと発展したリバイバル・ロックンロール。 2) フィッシュマンズとのかかわりは表面上はわかりにくいかもしれないけど(それどころか正反対のイメージかもしれないけど)、楽屋で出番を待っている時の佐藤伸治はまさに“パンク!”。

ハンバーグ【ハンバーグ】(曲)

1) 大量のひき肉に、みじん切りにして炒めたタマネギなどを混ぜて充分にこねあげ、適当な大きさに分けて焼いたもの。コドモに大評判。 2) そうした食べ物を欲する気持ちを簡潔かつ率直に歌った曲。おまけにオヤツのことまで考えている。作詞作曲はサトちゃん&フクちゃん。セカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。

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ピアノ【ピアノ】(曲)

1) バカでかい鍵盤楽器。欲しくなったからといってすぐに手に入れられるようなものではないからこそ、60~70年代には、これがあることが日本の中流家庭のステイタスともなったが、ステイタスとして座敷なんかに配されたピアノはなかなか弾かれることもなかった。ピアノはいつか、弾いてくれるひとのもとに、自ら歩いていくのかもしれない。 2) デビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』のラスト・ナンバー。 3) ハカセ加入記念ナンバーでもあった。

ヒーズ・ランニング【He’s Running】(曲)

1) 彼は走っている[英語]。 2) フィッシュマンズ、最々初期の未発表曲。「ブルー・サマー」等と共に87年のバンド結成時から演奏されていた。佐藤伸治は大学の夏休みにこの曲のアレンジを必死に考えていた。

ひこうき【ひこうき】(曲)

1) バカでかいスチール製の乗り物。二人から五百人余りまでを乗せて空を飛びまわり、ごくたまに落ちる。 2) 昔の校庭で体育なんかやってると、空に鮮やかな飛行機雲が出現して授業どころじゃなくなったものだ。あの頃はしかし、あれが空を汚しているんだとは誰ひとり思ってもみなかった。飛行機雲はなくなっても雲はいまも同じ場所にあるけど。 3) 91年4月21日にバージンジャパンからリリースされたフィッシュマンズのデビュー・シングル。デビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』とライブ・アルバム『オー!マウンテン』にも収録。

ひっしゅまんず【火ッシュマンズ】(名)

ィッシュマンズのオリジナル・ライター。96年夏に売り出されたフィッシュマンズ福袋のみに入っていたグッズ。青、黄、赤、緑、白と、色も豊富で大好評だった。

ヒックスヴィル【HICKSVILLE】(名)

ロッテンハッツの3人が結成したロック・バンド。黒ぶちメガネでリーゼントでギターの木暮晋也はフィッシュマンズのライブをサポートしていたことがあり、またヒックスヴィルとしては「サニー・ブルー」のリミックスも手掛けた。

ひっくりかえってたふたり【ひっくりかえってた2人】(曲)

1) 逆さになっていた、転じて既存の価値を転倒させていた二人。あるいは笑い過ぎてひっくり返っちゃってた二人。 2) デビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』のオープニング・ナンバー。雨が降ろうが槍が降ろうがホラー映画が驚かそうが、《世界》を築いた二人の笑いは止められないのである。

ひゃくミリちょっとの【100ミリちょっとの】(曲)

1) 10センチ・プラスアルファの。 2) 92年2月5日にリリースされたフィッシュマンズのサード・シングル。CX系TVドラマ「90日間トテナム・パブ」の挿入歌として92年1月から3月までオン・エアされた。中原信雄+フィッシュマンズ編曲のシングル・バージョンは、同番組のサントラ盤『ザ・90デイズ』にも収録。『キング・マスター・ジョージ』バージョンとは歌詞を含めてちょーっと違う。おまけに代理店からの要請に応えて英語バージョンまで録音したが、こちらは未発表。 3) というわけでフィッシュマンズ初のタイアップ企画だったが、「その依頼というのが、クールな感じの曲とか、詞はロンドンの雨が降ってうような感じで書いてくれとか、最初のイントロの四小節はスパッとくるようにとか、もういろいろと難題を持ってくるんですよ。しかもそれが3日おきにコロッコロと変わるし…」(佐藤伸治)というようなフィッシュマンズ初の苦労が込められたポップ・ソング。ポップ・ソングだけど、歌詞はひんやり。だって、フィッシュマンズですから。

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フィアット・パンダ【Fiat Panda】(車)

1) イタ車。 2) 茂木欣一の現在の足代わり。箱形で、大き過ぎず、小さ過ぎず、世田谷区を走るにはちょうどいい大きさ。色はアイボリー。エアコンの効き過ぎはメンバー中随一。そして静か。ついこの間まで雨漏りがしていたが、ちゃんと直った模様。 3) 同車を手に入れた日に茂木欣一が事務所まで見せびらかしにきたエピソードはあまりにも有名。

フィアット・リトモ・アバルト・イチサンマルティーシー【Fiat Ritmo Abarth 130TC】(車)

1) イタ車。 2) 柏原譲の現在の愛車。フィアットといえどもいろいろあるもので、茂木のフィアットと較べるとそのフォームは実に攻撃的。つまり、ちょっと強そうな外見で、色はガンメタ。この車はとにかく速い。そしてさすがベーシストの車だけあった、ボタンひとつで低音がビシバシ鳴り響く。たまに故障するが、それを直すのが本人の無上の楽しみとか…?

フィアット・リトモ・ハチゴースーパー【Fiat Ritmo 85 Super】(車)

1) イタ車。 2) 柏原の前の愛車。この車は本当によく壊れる車だった。柏原がこれに乗っていた頃は15台ほどの代車を乗り継いでいた。

フィッシャー【フィッシャー】(句)

1) フィッシュの比較級。「よっしゃー」の活用形。 2) 96年のライブ・ツアーの折り、ステージに立つ前に必ずこれで気合を入れていた。ありがちな青春のヒトコマ。

フィッシュ・イズ・ウォッチング・ユー【Fish Is Watching You】(曲)

1) 魚が君を見ている。焼き魚だったらちょっとコワいが。 2) 96年のライブ・オープニング・ナンバーとして数回演奏された、ほぼインストのダブ・ナンバー。96年8月にレコーディングしたにも関わらず、CD化されていない唯一のオクラ入りトラック。早稲田のアバコ・スタジオにて一日でレコーディングされた。サンプル・ボイスがバトルするヘビーな一曲。

フィッシュガンズ【Fishguns】(名)

1) フィッシュマンズ・オリジナルの水鉄砲。 2) 火ッシュマンズ同様、96年夏に発売された福袋のみに入っていたグッズ。野外イベントで発売されたフィッシュガンズを買った人は会場で人気者になれたという報告もある。

フィッシュマンズ【Fishmans】(名)

1) 佐藤伸治の造語。意味なんかないね、意味なんかないよ~。一説によると、佐藤が学生時代「魚みたいな人だね」と言われ続けたという逸話にちなんでいるらしい。 2) 佐藤伸治=ボーカル+ギター、柏原譲=ベース、茂木欣一=ドラムの3人による90年代型ロック・バンド。1987年の初夏に結成。オリジナル・メンバーにはさらに小嶋謙介=ギター、途中参加にはハカセ=キーボードがいた。 3) 現在までに8枚のオリジナル・アルバムと10枚のシングルをリリース。96年にポリドールに移籍し、専用スタジオでせっせとレコーディングに励み、3年間で3枚のアルバムを完成させた。仕事が嫌いというわりに、驚異の生産性を見せる、かと思えば、内容はいたってマイ・ペースで、売れるんだか売れないんだか全然わからなくて、売れて当然なのか、売れなくて当たり前なのか誰にも判断がつかない。平和で穏やかで優しそうなんだけど、よく聴くとけっこうキツいことを言うバンドでもある。

フィッシュマンズがんばってます【フィッシュマンズがんばってます】(名)

6年の春から秋にかけて発行された週刊紙。編集人の植田亜希子(マネージャー兼務)がレコード会社スタッフの意気高揚を主目的として創刊。バンドの近況からメンバーインタビュー、人気曲投票、プロレスネタまでを含む多彩な内容に、レコード会社外にもファンが急増した。また、広告掲載料はポケットティッシュ1ケという良心的なものであった。このティッシュは後に“ティッシュマンズ”の原材料として再利用された。

フィッシュマンズちょうりふく【フィッシュマンズ調理服】(服)

1) コックが着る白衣。 2) 10thシングル「マジック・ラブ」の裏ジャケット用に特別に誂えられた衣装。胸にはちゃんと“代々木 フィッシュマンズ”という刺繍が施されている。最近ではHONZIがステージ衣装として活用している。

フィッシュマンズのあえばさいこう【フィッシュマンズの会えば最高】(題)

木のソロ・レギュラー番組。FM愛知。時間帯は夜8時という超ゴールデン・タイム。かかる曲も佐藤とはひと味違った黄金のポップスあり、ロックありの30分間。誰よりも楽しかったのは自称・ラジオっ子の茂木本人。

フィッシュマンズふくぶくろ【フィッシュマンズ福袋】(名)

6年夏に発売されたグッズの詰め合わせセット。『オー!マウンテン』のプロモーション用Tシャツからフィッシュガンズ、火ッシュマンズ、フィッシュマンズ洗濯挟みにフィッシュマンズ・ヨーヨー、フィッシュマンズ・スプーンと細かい手作りアイテムが目一杯つめ込まれていた。

フェンダー・ジャガー【Fender Jaguar】(機)

1) 佐藤が愛用しているエレクトリック・ギター。60年代モノ。ソリッド・タイプ。 2) 一昨年、中古楽器で購入し、レコーディングでもライブでも活用されている。アーム具合がいいらしい。弦はダダリオ011を使用。「ギターを選ぶ時はまず見ため。その後でちゃんと音が出るか、チューニングが合うかを確かめる。このギターはネックが細くて弾きやすい。重さは軽いが音も軽い。ベンチャーズみたいな音がする。小嶋くんも使っていた」(佐藤伸治)

フォデラ・エンペラー・ファイブ【Fodera Emperot 5】(機)

1) 柏原が愛用している5弦ベース。4弦よりも低い音の弦が増えている。 2) 3年前に中古楽器店で購入。弦はダダリオXL160を使用。しかし滅多に代えない、…というより代えているところを見たことがない。かなり重いのがたまに疵。そのせいか、柏原は腰痛に悩まされている。

フジパシフィックおんがくしゅっぱん【フジパシフィック音楽出版】(名)

1) フジテレビジョン・ニッポン放送系の音楽出版社。通称フジパ。原盤制作も行っており、デビュー以来、フィッシュマンズの曲を著作管理している。ほかにはTOKYO No.1 SOUL SET、ボニー・ピンク、プレイグス、ウルフルズ等の制作も。 2) フィッシュマンズの担当は謎の口笛男こと森本某。

フューチャー【Future】(曲)

1) 未来[英語]。まだ来ていないこれから先のこと。遠い将来のこと。 2) フィッシュマンズのデビュー・アルバム『チャッピー・ドント・クライ』に収録されたスピード社会への不満を訴えるのんびりしたプロテスト・レゲエ。どんな未来になったらいいか、作者の希望があれこれと述べられている。

――(リミックス)【Future(remix)】 1) 別な…未来[英語]。 2) 歌詞は必要最低限にそぎ落とされ、その代わりサウンドは奥行きを増している。マキシ・シングル「ゴー・ゴー・ラウンド・ディス・ワールド!」に収録。

プール【Pool】(名)

1) 夏になると水が張られ、人間たちがわっと泳ぐ巨大な水桶。 2) フィッシュマンズのファン・クラブであるネリが発行する季刊紙の名称。季刊で、メンバー3人による自筆のエッセイやこだわりの一品を始め、様々な話題が泳ぎ回っている。くだらない話がやたらと面白い。ちゃんとしたリポートも充実。

ブルー・サマー【Blue Summer】(曲)

1) いまひとつノリの悪い夏。悲しげな夏。憂鬱な夏。陰々滅々とした夏。どんよりとした夏。がっくりときた夏。めためたな夏。 2) シングル「いかれたベイビー」及びライブ・アルバム『オー!マウンテン』に収録。つくられたのは大学時代の初期と、かなり古い。ちょっとジャックスが入っているか。

プロ・トゥールズ・スリー【Pro Tools III】(機)

ップル・マッキントッシュ用のハード・ディスク。レコーディング・ソフトウェア「ロジック」と併用することにより、普通の家庭でもプロ・クオリティのレコーディング/トラックダウンを可能にした偉大なハードウェア。ハワイ・スタジオの機材の心臓部。

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ベイビー・ピアノ・ミックス【Baby Piano Mix】(曲)

1) 「いかれたベイビー」のピアノ・バージョン。 2) ライブ・アルバム『オー!マウンテン』に収録された得たいの知れないインスト・ナンバー。たったの38秒。

ベイビー・ブルー【BABY BLUE】(曲)

1) 憂鬱な恋人。 2) フィッシュマンズの6thアルバム『空中キャンプ』に収録され、さらにシングル・カットされたフォーク・ソング調のラバーズ・ロック。心中をほのめかした歌詞と地下から湧き上がってくるようにフィルしてくるストリングスが非常に印象的。

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ポッカ・ポッカ【POKKA POKKA】(曲)

1) いわゆるひとつのオノマトペー。何を意味するかは不明(命名はHONZI)。コーヒーメイカーとは無関係。 2) フィッシュマンズのアルバム『宇宙 日本 世田谷』に収録されたオープニング・ナンバー。鬱蒼としたニュアンスの中にも毅然とした態度が伺えるという意味では『空中キャンプ』の直系と言える。

ポリドール【Polydor】(名)

1) 金塊の山[仏語]。 2) フィッシュマンズが95年から契約しているレコード会社。バンド・ブームが一段落するまでロックにはいまひとつ距離のあったレコード会社だったが、現在ではスピッツ、GLAY、氷室京介、ブランキー・ジェット・シティ、吉川晃司ほか、多数のロックアーチストを抱えるレコード会社となっている。

ホールズ【HALLS】(食)

コーディング時におけるボーカリストの必需品。フィッシュマンズも例外ではない。

ホンヂ【HONZI】(人)

1) フィッシュマンズのライブ・サポートを務める愛すべき勝ち気なバイオリニスト。ステージの間中、定位置で走り続けているのが特徴。 2) ソロではフィッシュマンズとはまた違った独自の音楽性を展開し、「蘇州夜曲」のカバーを含むデビュー・アルバム『ONE』(ポリスター)を96年にリリース。

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-- ま --[]

イ・ライフ【MY LIFE】(曲)

1) 自分の人生、生活。 2) 94年10月21日にリリースされたフィッシュマンズの6thシングル。4作目のアルバム『オレンジ』にも収録。自分の人生とはとにかく長年、しかも四六時中つきあわなきゃならないもんだから、時には逃げ出したり、邪険にしたり、焦ったり、追い出したりしたくなるときだってある。そんなときにはフィッシュマンズの「マイ・ライフ」がお薦め。

マジック・ラブ【Magic Love】(曲)

1) 魔法の愛。 2) 97年7月2日にリリースされたフィッシュマンズのシングル。アルバム『宇宙 日本 世田谷』にも収録されている。ここ最近のフィッシュマンズにしては珍しくアップ・テンポのレゲエ・ナンバー。カウント・ダウンTVのエンディング・テーマとして97年7月~8月に毎週オン・エアされたが、オリコン初登場は74位だった(!)。たはは。 3) ジャケットのスパゲティは、裏ジャケットのコック姿に“魔法”をからめてイメージされたもの。必然性とか順序とか、ちょっと予想をつけにくいバンドなのであるが、問い詰めてみると、動機は拍子抜けするほど単純だということが多い―――(remix)フィッシュマンズのニュー・シングル「マジック・ラブ」に収録されたリミックス・バージョン。リミックスを手掛けたのはTOKYO No.1 SOUL SETからDJ川辺浩志。

マッキントッシュ【Macintosh】(機)

1) “マック”という愛称で親しまれているアップル社製のコンピュータ。 2) フィッシュマンズ及びそのスタッフが愛用している。機種は佐藤→IIvi、茂木→LCIII、柏原→IIsi、HONZI→Power Book5300cs、ダーツ関口→LCIII、ハワイ・スタジオ→Power MAC8100AV、佐野→Power Book180、森本→Power Book5300cs、植田→Power Book5300cs。だからなんだって感じですか?

まつやましんや【松山晋也】(人)

1) 「スタジオボイス」の顔。日本雑誌界が生んだ久々の名物編集長。そしてフィッシュマンズを最も早く商業誌の表紙に起用した男として、その功績はいまでに燦然と輝き続けている。鎌倉に家を持ちながらもほとんど帰宅することはなく、編集部で寝泊まりを続けたあげく、ジャージの上下で六本木から渋谷までママチャリで駆け抜け、警官と小競り合いを繰り返す30代後半。赤坂ブリッツの客席でフィッシュマンズを聴きながら涙を流していた姿はなかなかに忘れられないものがある。ちなみにその横でライターの佐藤大は彼女と笑い転げていた。

マリマリ【Mari Mari】(人)

1) フィッシュマンズのプロデュースと演奏でデビューした女性ボーカル。「ロング・シーズン」にコーラスで参加している。 2) 現在までに「エブリデイ、アンダー・ザ・ブルー・ブルー・スカイ」と「インディアン・サマー」の2枚のマキシ・シングルをリリースしている。後者は柏原譲による単独プロデュース。現在、アルバムのレコーディング中。フィッシュマンズのステージでも時々コーラスで活躍する。“世田谷のイーディー”という雰囲気。 3) スージー&バンシーズを脱退したマルコ・ピローニがアダム&ジ・アンツに参加する期間に結成していたリマ-リマとは無関係。

マンフィッシュ【Manfish】(名)

ィッシュマンズが始めたダンス・レーベル…ではなく、4年前のジャーマン・トランスを彷彿とさせるイギリスのインディ・レーベル。しかもこれがなかなかにヒドい。フィッシュタンクもダメだし、どうせ聴くならメランコリック、ダーバン・ポイズン、アウトプット、ブラインドサイド、クローク&ダッガー、ベイシック・チャンネル、アルティメイト・ディレンマ、UR、ナイトヴィジョン、カシアス、イエロー・プロダクションズ、ソース、スーパー・ディスカウント、パルプ・フレイヴァー、モザイク、フットノーツといったダンス・レーベルがフィッシュマンズ・フリークにはオススメです。

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ミディ・ドラム【MIDI Drum】(曲)

1) MIDIとはミュージカル・インストゥルメント・デジタル・インターフェイスの略で、シンセサイザーやリズム・マシン、シーケンサー、コンピュータ等の演奏情報を相互に伝達するために決められたデータ転送規格のこと。すなわちMIDIドラムとは、ドラム・パッドを叩くことで、MIDI信号を音源(サンプラー)に伝える仕組みのこと。「楽しいよ」(茂木欣一)。 2) 茂木の場合、レコーディングの時は主にヤマハTMXを、ライブの時はローランドSPD-11を使用している。

ミニ・クラブマン・エステート【Mini Clubman Estate】(名)

1) イギリス車。ミニの後ろが長いワゴン・タイプ。ミニなんだけど、顔は全然ミニではない。 2) 佐藤伸治の現在の愛車。色はイエロー。エアコンなし。エンジンをかけるとかなりいい音が…。ちょっと暑いがそれはそれで楽しい。つい先頃、ハンドルが取れるという大事件があったが、家の前だったために大惨事にはならなかった。日本ロック界はまだ佐藤伸治を失わずに済んだというところでしょうか。

ミネラルウォーター【ミネラルウォーター】(曲)

1) カルシウム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガン等、微量元素を比較的多量に含んだ水。六甲のおいしい水とかエビアンとかボルヴィックとか名付けられ、飲料水として販売されている。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『キング・マスター・ジョージ』に収録。ひと言で言えば、ミネラルウォーターを飲もうという歌。

-- む --[]

むらさきのそらから【むらさきの空から】(曲)

1) 空が紫色になるのはどんな時だろう。分からないけれど、そんな空を見たことはある。街も紫に染まってなんだかコワい感じだった。そんな空から届くのは…。 2) フィッシュマンズ初のマキシ・シングル「コーデュロイズ・ムード」に収録。ひとは一人では生きていられないのに、どうしてもどうしても独りの存在で、だから君を呼んだりするかもしれない。悲しくても、心細くても。

-- め --[]

メディア・レモラス【Media Remoras Inc.】(名)

1) バージン・ジャパンが東芝EMIに吸収される時、それを善しとしない有志によって設立されたレコード会社。フィッシュマンズのセカンド・アルバム『キング・マスター・ジョージ』からライブ・アルバム『オー!マウンテン』までを製作する。 2) 「バージン・ジャパンとは契約したけれど、メディア・レモラスと契約したわけではない」とフィッシュマンズはその存在を否定しようとするが、傍からはレモラスもずいぶん頑張っていたように見えるけど。しかし健闘むなしく96年に業務活動を停止、解散。それにともなってフィッシュマンズのバック・カタログも現在すべてが清算停止状態となっている。(98年2月よりPONY CANYONで再発。)

メロディー【MELODY】(曲)

1) 旋律、節回し[英語]。 2) 94年6月17日にリリースされたマキシ・シングルの表題曲。4枚目のアルバム『オレンジ』には別バージョンを収録。まるで、運命のようにある音楽と出会ってしまったロッカーの歓喜と不安を歌う。ミュージシャンが音楽を聴いている時のことを歌った曲って意外となかったかも。

-- も --[]

もてぎ・きんいち【茂木欣一】(人)

1) フィッシュマンズのドラマー。67年12月15日生まれ。横浜育ち。そしてフィッシュマンズのリーダー。茂木と書いて“もてぎ”と読む。こちらの方が正式…なんだそうです。 2) 色白で、大食漢。食べてるときがいちばん幸せ。ある特定のミュージシャンに興味を持つと、作品の善し悪しに限らずその人の全作品並びに全生涯を徹底的に調べ尽くさなければ気が済まない。いわゆる研究家気質。また、サンプラーに関する知識ではその右に出るものはない。一見柔和な丸顔だが、日本でも指折りのパワフルなドラマー。パワフルなんだけど、すっごく楽しそうに太鼓を叩いてて、凶暴な匂いは皆無。ライブの後の打上でも、一人で車に乗っている時でもいつも無意識にリズムを刻んでいる。私生活もルンルン。業界内では「えっ!?」と驚くようなひとびとにまでモテギモテギ、いやモテモテ。さらにはラジオのディスク・ジョッキーも得意で、フィッシュマンズの中では最も足繁くレコード・ショップに通っている。 3) フィッシュマンズのなかでは比較的適応能力に富んでおり、結果的にスポークスマン的な役割を担っている。わかったようなわからない人である。

もりもと・まさき【森本正樹】(人)

1) フィッシュマンズの原盤制作担当者。 2) 別名・謎の口笛吹き男。華奢でナイーブそうな顔立ち通り、ふだんはいたってシャイな青年だが、酔うと10倍くらいに大きくなり、時には王冠まで被って王様となる。飲む前に乾杯の音頭も取れないのに、打ち上げの終わりには15分ほどスバラシい演説をブッてしまうんだから、燃費良過ぎ。もちろん、王様になった時の記憶は翌朝には消えていると本人は主張する。 3) 気になる顔立ちは一言で言えば知念里奈に似ているいるが、沖縄育ちにしては色白。

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ヤマハ・オー・ツー・アール【ヤマハO2R】(機)

マハ社(日本)製の非常に優秀かつ安価なコンピュータ・プログラマブル・ミキサー。ハワイ・スタジオのメイン・ミキシング・コンソール。すべての音はこのマシンに入力され、パワー・アンプを経由して、モニター・スピーカーで試聴される。当然レコーディング時も“録り卓”として使用。

やまもとのりこ【山本典子】(人)

本橋生まれ。池尻大橋のキャリアガール。フィッシュマンズの宣伝担当。年齢を当てたい時は、見た目より10歳くらい多めに言うと当たる。“ヤマモトテンコ”と人は呼ぶ。

やまもとムーグ【山本ムーグ】(人)

1) フィッシュマンズのジャケット・ワークを一身に手掛ける多忙なグラフィック・デザイナー。足も手も顔も長い(トッド・ラングレンにサニーデイ曾我部を注入したような顔立ち)。 2) バッファロー・ドーターのステージではターンテーブル奏者に早変わりする。独特のスクラッチが人気で、その高等テクニックはフィッシュマンズの9thシングル「シーズン」にフィーチャーされている。ピシュパシフジパシッ! と聴こえるとか、聴こえないとか。

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ユズルマン【Yuzuruman】(服)

作りTシャツ。5枚限定。深く考えないように。

ユズルマンのテーマ【Theme from Yuzuruman】(曲)

快かつシリアスなナンバー。関口道生、作詞・作曲。

ゆるい【緩い】(形)

かごろ流行りのライフ・スタイルの傾向を大ざっぱに表すコトバ。ねらいが定まっていないというか、キメが弱いというか、ぼんやりしているというか、そんなものに対して使われ、どちらかと言えば悪くない意味で音楽にもよく使われる。フィッシュマンズはこれを先取りしていた、んだろうか? そうなんだろうか?

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よるのおもい【夜の想い】(曲)

1) 夜に感じる特別な感情。 2) とてもフレンドリーで、とてもクールな歌。フィッシュマンズの4thアルバム『オレンジ』とライブ盤『オー!マウンテン』に収録。とくに後者のバージョンでは、思わず気が遠くなるような、まるでガラスの玉が降ってくるのを見上げているようなアレンジが…!(絶句)

よよぎこうえん【代々木公園】(地)

1) 原宿にある大きいな公園。最近は外国人問題などでにわかに不穏なムードを漂わせている。 2) 『空中キャンプ』のジャケットはここでビデオ撮影されたものを元にしている。

ら~ん[]

-- ら --[]

ラディック【Ludwig】(機)

1) ドラム・セットを製造販売している会社。もっとも一般的なドラム・セットは、22インチのバス・ドラム、12と13インチのタムタム、14インチのスネア・ドラム、16インチのフロア・タム、14インチのハイハット・シンバル、16~18インチのサイド・シンバル、20インチのトップ・シンバルという構成である。 2) 茂木欣一が専ら愛用している。ここ2年ほどはミディ・ドラムと併用もしている。レコーディング時には62年頃のグレッチのセットやシモンズを使用することも。

ラディック・ロッカーズ・メイプルスネア【Ludwig Rockers Maple Snare Drum】(機)

がメイプル材でできているラディック社製のスネア・ドラム。茂木欣一のデビュー前からの愛器。スネア・ドラムとは、円筒形の胴面に皮を張り、裏皮にスネア=スナッピー(響き線)をつけたドラム。スナッピーは着脱可能。直径14インチサイズが一般的。茂木の使用器は14×61/2インチの深胴型。スネアはドラム・セットの中心的存在であり、そのチューニングやトーンにはドラマーの個性が強く表れる。「ライブではそれなりに高いピッチでスコーンと鳴るようにしてます。チューニングはやはりバンドのアンサンブルに合わせて作ります。レコーディングでは曲によってさまざまです」(茂木欣一)

ランニング・マン【Running Man】(曲)

1) 走っている人。駆けている人。普通は“ランナー”と表記するところだけど、どうしても“~マン”という表現にこだわってしまうのがフィッシュマンズじゃん。 2) フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』及びライブ・アルバム『オー!マウンテン』に収録。佐藤伸治の基本ともいえる態度が歌詞によく表れている。

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リトル・フラッパー【Little Flapper】(曲)

1) まだ年若い、生意気な現代娘。 2) フィッシュマンズのデビュー・シングル「ひこうき」のカップリング曲。彼らにしては珍しくヒップが浮ついた感じというか、多少は皮肉めいた感情もあるようだけど、基本的には小娘とうじゃじゃじゃけているだけのように聴こえる小品。『オレンジ』に収録された「気分」聴き比べてみると、その違いに愕然とする。フィッシュマンズって様々な方向性を捨ててきたんだねぇ…。

りす【栗鼠】(動)

1) ネズミに似たリス科の哺乳動物。尾がふさふさとしていて木の実を食べる。 2) 佐藤伸治の定番ペット。子供のころから何匹も飼い、そのすべてと悲しい分かれを繰り返している。「部屋に放し飼いにしてるから最終的にはいつも逃げちゃうんだよね。リスはね、5月に生まれるの、ペット屋に」。その名は全部、マサ。

リハーサル【rehearsal】(名)

1) コンサート等の本番に向けて行う練習のこと。通称リハ。 2) フィッシュマンズはけっこうリハーサルが好き。だけど、とくに機材が複雑多様化した最近では、セッティングにやたら時間がかかるし、生楽器と電子機材両方を扱えるスタッフが少ない等の理由で、リハーサルと言えども簡単にはいかない。そのうえ、本番同様に入り込む佐藤伸治がコードにつまずいて捻挫したりするのだ。

りぼん【Ribbon】(名)

1) 主に人絹を幅狭く縫った装飾用の織布。プレゼントを包んだり、髪飾りにしたり、目印に使ったりする。 2) 70sにはモップス、井上陽水、原田真二、80年代にはRCサクセションをブレイクさせたが、いまだ小さな音楽事務所。社名は井上陽水の命名。代表の奥田義行はちょっとせっかちだが、才能を見抜く目には定評がある、というか実績には確かなものがある。しかし、その才能を自己の蓄財につなげられないという弱点がる(もちろんこれは美点だ)。というわけで、きょうも東京青山のりぼんオフィスではうら若き美女たちが、働き者の青年らと共にせっせと社長をフォローしているのである。 3) 現在の所属アーティストはフィッシュマンズのほかに小山卓治、プレイグス、マリマリほか。

リミックス【remix】(名)

のミックスを変えること。70年代後半にはディスコ用にバスドラを少し強調する程度だったが、そのうちだんだんとオリジナルの原形をとどめないようなミックスも散見されるようになり、リミキサー自身がオリジナルとは別個の個性をもつ存在として認めれるようになっている。

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ループ【loop】(名)

1) 輪。 2) 最近ではサンプリングしたブレイクビーツの反復のことを言う場合が多い。

ルノー・キャトル【RENAULT CATTLE】(車)

1) イタ車。 2) 佐藤の前の愛車。真っ青でとても品のある形をしていた。ままりにきれいな青で、よく目立っていたこの車は200メートル先でもすぐに見つけることがだきた。特に某公園の前でよく発見されていた。

-- れ --[]

レイド・バック【Laid Back】(類)

1) リラックスした雰囲気。またはそれを助長する音楽のこと。 2) フィッシュマンズのサウンドはそのほとんどがレイド・バック・サウンドに属する。

レゲエ【Reggae】(類)

1) 60年代末にカリブ海はジャマイカで生まれたオフ・ビート主体のリズム音楽。ロックやフォークなどと較べると政治色や宗教色がいささか強い。70年代末にはボブ・マーリーというカリスマやダブという手法を通して世界中のポップ・ミュージックに影響を与えた。 2) フィッシュマンズの音楽性は、このレゲエやその原型にあたるスカ(ブルービート)、さらにはロックスステディやラバーズ・ヒップ・ホップといったそのバリエイションに負うところが多い。いや、それをさらに発展させているんですよ!

レコーディング【レコーディング】(名)

1) (音楽などを)記録すること。 2) 今世紀に入り、レコーディングは音楽家たちにとっての重要な仕事の一つとなった。さらにこの百年間における技術の進歩には目を見張るものがある。音楽家たちは日々、新たな技術を駆使し、あるいはあえて古い技術を発掘し、作品の記録に励んできたのである。 3) 複雑なレコーディングが当たり前となってきたこの時代には、フィッシュマンズもその例に漏れず、この先が思いやられるほど複雑なレコーディング方法を日々開拓しつつある。フィッシュマンズがこれまでにレコーディングした作品は、アルバム8枚、シングル10枚、マキシ・シングル4枚、未発表1曲。

レコードばん【レコード盤】(名)

1) いわゆるアナログ盤。デジタル録音のCDやMDとは違い、音が滑らかだと言うひともいるが、普通の耳には針が擦れるときのノイズの方がよく聞こえる。 2) 「それでもやっぱりアナログだよね」とおっしゃっる昔気質なあなた、DJのキミ、流行りモノ好きの諸君、フィッシュマンズはCD全盛の90年代ニッポンで、これまでに「メロディ」『オレンジ』『オー!マウンテン』『空中キャンプ』『宇宙 日本 世田谷』といった数々のアナログ・レコードを発売してきました。心ゆくまでなで回し、擦り切れるまでお楽しみください。それにしてもレコーディングがデジタルになればなるほど、アナログ盤が復活してくるのはなぜなんだろう?

-- ろ --[]

ロック【rock】(名)

メリカの50年代にリズム&ブルースとヒルビリー(C&W)が結びついて生まれたロカビリー/ロックンロールが、さらにフリー・スタイル化したものの総称。その多くは3~4人のグループが8ビートで演奏し、10~20代の日常生活を歌詞のテーマとしている。

ロックステディ【rocksteady】(名)

1) ジャマイカで生まれたスカにメンフィス・ソウルのボーカル・スタイルやリズミックなベース・ラインが結びついてできた音楽。スカよりもテンポが遅く、後にダブを生み出す一因ともなる。再びテンポを速めたものがいわゆるレゲエ。 2) 60年代に活躍したコクソン・ドッドやデューク・リードが有名。 3) フィッシュマンズのレパートリーでは「ベイビー・ブルー」がその典型。

ロング・シーズン【Long Season】(曲)

1) 長い季節。ゆっくりと過ぎて行く季節がみせてくれる何もかもをつめこんだような、なにげない季節の移ろいが垣間見せる壮大なドラマのような、聴くひとそれぞれのイマジネイションがたちまち眼前に立ち現れるような一大絵巻。 2) 9作目のシングル「シーズン」を35分17秒にロング・ミックスしたフィッシュマンズのワン・トラック・アルバムにして、かなりの問題作。アサチャンがパーカッションで、シアター・ブルックの佐藤タイジがギターで、UA、マリマリがコーラスで参加している。

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ワイ・エム・オー【YMO】(名)

1) 日本のテクノポップ・ユニット、イエロー・マジック・オーケストラの略。細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の三人が79年に結成、エレクトロニック・サウンドで80年代初頭サブ・カルチャーの代表曲に「ビハインド・ザ・マスク」など。 2) 柏原譲が小学生の時にコピー・バンドをやっていた。

ワイキキ・オーシャンビュー・ホテル【Wakiki Oceanview Hotel】(地)

1) フィッシュマンズのホーム・スタジオであるハワイ・スタジオの階下にある休憩スペース。単なる休憩のほか、食事やミーティング、ビデオ鑑賞、テレビゲーム、インタビュー取材等に使われ、ある時は穏やかなくつろぎに、またある時はほかの緊張感に満たされた。壁一面に描かれたされた。壁一面に描かれた佐藤伸治画伯の落書きも見ものであった。

ワイキキ・ビーチ【Waikiki Beach】(地)

1) アメリカ合州国ハワイ州オアフ島ホノルル湾の海水浴場。 2) 95年から97年にかけてフィッシュマンズのホーム・スタジオだったハワイ・スタジオとその階下のワイキキ・オーシャンビュー・ホテルの総称。

わがまま【我侭】(名)

1) 自分の思うままにふるまうこと。きまま。自分勝手。ほしいまま。 2) 「わがままに生きてます、すみません」―――『オレンジ』発表のころの佐藤伸治の口癖。ライブのMCでもしばしばこうして謝っていた。全然、悪いと思ってないくせにさ。「いつの間にかつい(プロに)なってしまったんだけど。あんまり熱意なかったんだ、その頃。どんなことやってもわがままにやっていこうときめたんだよ(笑)。せっかくミュージシャンになったんだから」(佐藤/SLATE#010)。わがままに生きるって、けっこう根性必要なんだよな。

わすれちゃうひととき【忘れちゃうひととき】(曲)

1) 時間が経つと覚えていないような些細な時間のこと。 2) 特別なことは何にも起こらない、何もしていない、何も考えてもいない、そんな瞬間は突然訪れる。すごくぜいたくな、愛惜しいひとときを喜ぶ歌。フィッシュマンズ4thアルバム『オレンジ』に収録。

ワン【ONE】(題)

1) 壱[英語]。 2) 96年にリリースされたHONZIのファースト・アルバム。フィッシュマンズとはまた違ったクルト・ワイルの世界が現代風に展開されている。

ワン、トゥー、スリー、フォー【1.2.3.4.】(曲)

1) 1から4までのカウント。 2) カウントは音楽の始まり、魔法の始まりによく使われる。フィッシュマンズのサード・アルバム『ネオ・ヤンキーズ・ホリデイ』に収録。作詞・小嶋謙介、作曲・ハカセ。

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ンバラ【Mbalax】(題)

1) セネガルの現代ダンス・ミュージック。 2) ンバラを代表するミュージシャン、ユッスー・ンドゥールを早口で言うと“ユズル”に聞こえるところから、実は柏原譲と同一人物ではないかという噂が流れたことすらない。

Credits[]

集:水越真樹(夏休み)

筆協力:三田 格(夏休み), 植田亜希子(りぼん), 森本正樹(フジパシフィック音楽出版)

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